過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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◆JzBFpWM762
[saga]
2015/12/16(水) 00:01:07.28 ID:PozYXDL3o
「どういたしまして……っていいたいところだけど、本当に何もしてないよ」
「それでも」
と、ネリーは強調して言うと、
「……なんだかんだ不安だったし、誰かがそばにいてくれてすごく安心して……気が楽だった」
しみじみと感じ入るように漏らす。口元にはうっすらとした笑み。はにかむような、いつもの活力を感じさせるそれとは違った、落ちつきのある笑み。
「だからありがとねっ」その声と同時に、咲の片腕に重みがかかる。ネリーの両腕がぶらさがるように咲の腕を抱えていた。
子犬にじゃれつかれてるみたい。咲は、重りのようなネリーを引きはがそうとしなかった。ネリーも、抱えた咲の腕を離さない。
そうしていると、あのお菓子のような甘い芳香とは違う、ネリーの自然な匂いが鼻腔をくすぐる。石鹸のような香りとスキンケアに使っているのだろう乳液のミルクのような香り、それに体臭が合わさった匂いなのだろう。
近くにいるのが不快ではなかった。むしろ心地よい、まどろんでしまうような感覚が包む。繁華街を歩きながら、世界が切り離されたような――、
「ねえサキ」
その感覚を打ち切ったのは他でもないネリーの声だった。
「これからちょっと寄るところがあるんだけど……」
先ほどまでの元気とは打って変わり、目を伏せて声のトーンを落とす。突然の話。咲は黙って言葉を待つ。
そこから、短くない沈黙があった。繁華街を進む足どりは変わらずに、少しずつ臨海女子の校舎へと近づいていく。
このまま会話が止まったまま歩き続ければ臨海の校舎に帰ることになるだろう。
しかし、
「サキも、きてくれる?」
ネリーはその誘いをかけた。俯きがちのまま、咲の方を一瞥もせずに。
練習は――これ以上、抜けるわけにはいかない。その時間にどれだけ力を伸ばせるかどうかも大事だが、それ以前に。
矜持のようなものがある。他人の目にどう映るかではなく、自分の中で守り通したい、守らなければならない一線。咲にはそれがある。
ネリーのこの誘いを受けることは、それにまたひとつ、ひびを入れてしまう。
だから考えて、答えを出すのなら断るという結論以外にあり得ない。そのはずだ。
なのに。
「わかった。どこにいくの?」
私は――――馬鹿だ。
俯きがちだったネリーがばっと顔を上げて、透き通った青い瞳で見つめてくる。
その瞳がうれしげな色味を帯びているとわかった瞬間、どうしようもなく胸が弾んだのだ。
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