過去ログ - 浜風「私達はきっと人間の出来損ない」
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32: ◆XTxK6n/lbg[sagesaga]
2015/03/21(土) 00:48:56.91 ID:1RmluRqaO
潮さんが拾ったクリアファイルを相手に手渡す前に、提督は膝を屈めて顎で自分の持つ書類の山を指した。
身長差のある潮さんの手が、束の一番上に届きやすい配慮だったのだろう。

「ここに置いてくれないか?」

だが、屈んだ拍子に手に持っていたそれらはゆっくり傾いて、潮さんがあっと言う間もなく全て崩れ落ちてしまったという。

「それで、提督ったら大声であーっ!て悲鳴をあげられて…」

その時の光景を思い出し、クスクスと控えめに笑う潮さんを見て
私は潮さんがこんなに可笑しそうに笑える人だったのかと衝撃を受けた。
いつも卑屈そうな顔で周囲を伺っていた彼女とはあるで別人のようだ。

「それで、潮さんはどうされたんです?」

「はい。私は提督と一緒に書類を拾うことにしました」

まあ、それは当たり前だろう。
むしろそこで「それじゃあ私はこれで…」などと言って場を離れられる強心臓のコミュ障など、存在するとは思えない。

「書類を粗方拾い終わった後、提督は仰られました。悪いが、今時間が空いているなら、こいつらを執務室に運ぶのを手伝ってもらえないか?と」

提督の間の抜けた(潮さんは「おちゃめ」と評したが)一面を垣間見た潮さんは、何時の間にかそれまでの緊張が解れ、
彼と共にいることが苦痛でなくなっていた。
それで提督の頼みを引き受けたのだという。

「書類を3と1の大きさの2つの束に分け、私に1の方を預けて下さったんです」


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