過去ログ - 戦艦水鬼「光溢れる水面に、わたしも」
1- 20
7:名無しNIPPER[saga]
2015/03/24(火) 13:50:33.66 ID:qsbs6+9v0

 艤装を一撫で。うぉおおおんという雄たけびをあげ、怪物が二体、番傘へ突っ込んでいく。
 沈めよう。沈めなければならない。それこそが彼女の本懐で、深海棲艦の本能。

 更に歩を進めようとしたところへ弾着観測射撃。彼女の頭上に浮かぶ、煩わしい瑞雲十二型。巨大な艤装を背負っているくせに目に涙なぞ浮かべて、実にいけ好かない。ちぐはぐだ。

 戦艦たちの巨大な艤装の後ろから現れたのは、雷巡を旗艦とする水雷戦隊。日は傾き、既に夕方。夜が近い。

 砲撃戦は加速するばかりである。それまでの重たい、一撃必殺の応酬のような戦いとは打って変わり、彼女たちの戦いはあるいは三次元的ですらある。
 的を絞らせない。狙いを定めている間に背後から。そして振り向けば姿は既になく。そんなヒットアンドアウェイ。

 20センチ程度の口径では彼女の艤装に傷をつけることすら難しい。そして聡明であろう敵艦隊がそれをわからぬはずもなく、だがしかし、戦いをやめることはなく。
 それほどまでに大事な何かのために敵が戦っているのだとすれば、果たして自分たちは一体なんなのだろうか。なぜ我々は、大事な何かをひとつとて持たぬまま、終わりのない見敵必殺に明け暮れているのだろうか。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
20Res/15.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice