過去ログ - 爽「誰にだって恥ずかしい過去のひとつぐらいあるもんだろ?」
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:34:32.13 ID:AelvXrhO0

 夏休み初日。
全国大会に向けチームワークを高めるという名目の下、真屋由暉子宅に集まった有珠山高校麻雀部。
しかしながら現在員は3名。
約束の時間になっても姿を見せない桧森誓子と本内成香の身に一体何があったのか。
彼女らの想像を絶する試練が始まる……!

「考えすぎだと思いますが」

「ユキー、ほっといていいよ。爽のバカ妄想はいつものことだから」

 だって遅くね?

「まだ5分ありますよ」

「めずらしく先に着いたもんだからって――お、噂をすれば成香から電話来た。もしもーし」


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2:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:42:22.20 ID:AelvXrhO0

 しかし、相変わらずユキの部屋は広々してるなー。冷房完備だし快適極まりないね。

「お二人は学校の寮暮らしでしたよね。暑いんですか?」

以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:44:34.15 ID:AelvXrhO0

「私が行きますよ」

 いいって。家主が家空けるわけにいかないだろ。揺杏に任しときな。ほれ、帽子。

以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:47:07.82 ID:AelvXrhO0

「今日、かなり暑いですよね。爽先輩はTシャツにハーフパンツですけど、
 揺杏先輩は長袖長ズボンで暑くないのかなと」

 あー、そこかー。
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:49:00.06 ID:AelvXrhO0

「それは……はい。聞かせてもらえるなら」

 よし。ちょっとヘヴィーなところもあるけど、ユキなら大丈夫だろ。心して聞きたまえ。

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:51:15.88 ID:AelvXrhO0

 高校入るまでは児童養護施設にいてさ。ああいう施設にも色々あるみたいだけど、
私らのとこは小さい家がいくつか並んでるかんじでさ。
家ごとに大体子供6人ぐらいと職員数人で生活してんだ。そーゆーとこ行ったことある?

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:53:52.86 ID:AelvXrhO0

 だから一緒に遊んでてもすぐ泣かせるようなことしたり、動物虐めてヒかれたりがしょっちゅうでさ。
そんな中揺杏だけは面白がって一緒にいてくれたんだよね。あいつもヤンチャだったしな。
でも私といるせいであいつまで周りに敬遠されちゃってなー。
ところでさ、ユキはああいう施設の職員ってどんなイメージ?
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:57:41.74 ID:AelvXrhO0

 施設でも学校でも問題起こして、叱っても言うこと聞かない。まあ私らも悪いんだけどさー。
それでも私んとこの人は根気強く説教したり一緒に遊んだりしてくれたんだよな。
じゃあダメな大人はそういうとき、どうすると思う?

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:59:15.00 ID:AelvXrhO0

 あいつが肌見せない理由分かった?

「はい……すみません、変なこと聞いて」

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:01:33.58 ID:AelvXrhO0

「不良だったんですか」

 私なんかかわいいもんだよ。今度は揺杏の方がさ、あんなことがあったし、
私を嫌がってるようなことを婉曲にだけど聞かされたりして、すっかり大人に不信感持っちゃってなー。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:03:57.58 ID:AelvXrhO0

 私が受かってからあいつも誘ったら、最初は勉強できないから無理だって言ってたけど、
発破掛けたらその気になったみたいでな。だから私ら入学したときはそれなり頭良かったんだぞ。

「なんだか想像できませんね」
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:06:16.96 ID:AelvXrhO0

 そうそう、もっと触れないでほしいのは成香の髪な。あいつの髪で隠れてるとこはっきり見たことある?

「そういえば……なかった気がします」

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:08:50.39 ID:AelvXrhO0

「なんという……」

 あいつ、私らの前じゃ楽しそうにしてるけどさ、最初会ったときはすっげー警戒されてたよ。
いっつも顔色うかがってビクビクしてんの。今でもちょっと名残あるだろ?
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:13:03.80 ID:AelvXrhO0

 私と揺杏は小中別だったから、そんときのことは知らないんだけど、
いじめられる度にチカがかばったって話だよ。

「よかったです。誓子先輩は昔から友達思いでしっかりした人だったんですね」
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:14:48.66 ID:AelvXrhO0

「最初はほとんど爽先輩と誓子先輩だけだったって聞きました」

 うん、私らより上の人らはほとんど来なかったから、もう極楽だったよ。
でもさ、私がなんでチカを追い出さなかったと思う?
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:18:46.62 ID:AelvXrhO0

「何も問題ないように見えますが……」

 あいつのじーさん、私らのいた施設の施設長なんだよ。んで、親父さんも福祉関係の仕事なんだって。
言ってたよ、尊敬してるって。でもなあ、教師なんかにありがちなパターンなんだけど、
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:21:45.39 ID:AelvXrhO0

「そうやって頑張れるのは立派なことじゃないですか」

 ところが! ところがだ、どんなに頑張っても親は自分を見てくれない。褒めてはもらえるけど、
自分と過ごしてても施設で問題起きたりするとすぐそっちに行っちゃう。
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:23:36.34 ID:AelvXrhO0

 あんがと。んでまあ、そうやって称賛を集めるわけだけど、いくら名声を集めても、
親はやっぱり自分を優先してくれない。だから、そこで止まらず最高の相方を見つけてしまうわけだ。

「成香先輩ですか」
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:27:47.02 ID:AelvXrhO0

 うん。チカはね、成香が困ったり泣いたりして、それを助けて成香が、
『やっぱりちかちゃんがいないとだめ』って顔してくれるときに自分の存在意義を実感できるんだよ。
だから成香を護るためならどんなことだってする。それでいて、
護る必要がなくなると自分の存在意義が失われるから、いつまでもダメダメな成香でいてほしいんだ。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:32:51.43 ID:AelvXrhO0

 そんなある日の昼休み、昼飯食ったあと何かの用事でチカと職員室行って、
ついでに成香の様子見に行こうってクラスの前通り掛かったら、まさに現場に出くわしてさ。
ギャル3人組に囲まれて髪引っ張られてからかわれてたんだよ。明らかに成香は嫌がってて。
その瞬間チカがすっ飛んでって、鼻面にグーパンだよ。『なにやってんだああぁ!』って。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:35:38.94 ID:AelvXrhO0

「そうですね。でもそれだけやってしまうと停学ぐらいにはなっちゃいそうですけど」

 にひひ、そこはこの爽さんの悪知恵で、厳重注意で済ませたよ。チカにも抵抗されたように偽装したり、
口裏合わせたり脅したり。ただそれからがまた大変でなー、チカが事あるごとに成香が心配って言って、
以下略



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