過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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21:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:37:45.82 ID:JxUSEnW0o
「……ねーちゃんと、何かあったの?」

「…………」

「あ、いや、言いづらいならいいんだけど……あんなに泣いてるとこ初めて見たからさ。なんか……どうしたのかなって」


何から言おうか迷った。そもそも櫻子は、私と撫子の関係をそこまで詳しく知らないはずだった。櫻子はぺらぺら喋ってしまうから、関係を知られるのが怖いという撫子の言葉を思い出す。


たとえ妹が相手でも、守り通してきた秘密。

けれど、撫子の姿を重ねてあんなに泣きついてしまった私が、いまさら何を隠そうというのだ。

それに、守らなければいけない二人の秘密は、もう終わってしまった。

それでも諦められないから、私はあの桜に通っていた。撫子の面影を探して、思い出だけが残る場所を巡ってしまっていた。別れる前よりも今の方が、撫子のことで頭がいっぱいだ。


繋ぎとめたい。撫子と私の間に残された、消えゆく糸を。

二度と来ることのできなかったこの家に再び入れたこと。なにより櫻子が私を心配してくれていること。間違いなく、利用しなければいけない機会だった。


私には、もう失うものは、何もない。


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