過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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46:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:52:31.47 ID:JxUSEnW0o
櫻子と喧嘩なんて……絶対にしたくなかった。

せっかくできた一番の味方を失うこと。けじめをつけた自分の気持ちを、一番の味方に否定されたこと。撫子との全てを終わらせること。その全てが一気に押し寄せてきて、流したくない涙が溢れてきた。

それでも目を拭うことは許されなかった。櫻子に強く腕をつかまれて、自由がきかない。


「っ……!!」

「あっ、櫻子ちゃ……!」


泣きながら目線だけで理解を訴えていると、櫻子は急に腕を振り払って、全速力で走って行ってしまった。

独りぼっちになり、振り落とされたバッグをとって、私も自分の家の方角へ向かう。櫻子につかまれていた部分にバッグのかけひもがあたって、痛かった。


誰かと喧嘩をしたのは、久しぶりだ。

大きな罪悪感、櫻子を失った喪失感、まだ切れている息。すべての気持ちを振り払って、これでいいんだと自分に言い聞かせた。


撫子にとって一番いいことが、私にとっても一番いいこと。

その思いに、間違いなどあるはずはなかった。


―――さようなら、撫子。


夕日はもう、ほとんど沈みかけていた。


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