過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
1- 20
23: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/03/31(火) 05:21:56.26 ID:w4MVYybr0
 天江衣の質問にアンヘルが答えた。

「サマナーの作ったレベルなんてものさしは当てになりませんよ。真剣勝負の場でサイフの大きさと中身を気にするのは愚かです。

 衣ちゃんの理屈だと、十四代目よりも衣ちゃんが強いことになりますよ?」

 アンヘルはまったく動揺していない。アンヘルは自分の主人がどういう戦いをしてきたのかを知っている。そのため、京太郎と一緒に前線に出ようとはしないのだ。

 戦いにおいて自分にできる最高の役割は足を引っ張らないように補助をすることと割り切っている。

 そもそも龍門渕に招待されるきっかけになった事件も京太郎が前線に出て戦った結果である。ヨモツシコメの脅威などあの修羅場の連続を思い出せばたいしたことではない。

 アンヘルが答え終わるとほとんど同時に、ソックがこういった。

「アンヘルよく見ておこうじゃないか。万全なマスターの戦いぶりを」

 ずいぶんわくわくしていた。アンヘルもソックも万全の状態で京太郎が戦うところは一度も見ていないのだ。二人が見たのは消耗して、ぎりぎりのところで戦っている京太郎の姿ばかりである。

 だから興味がある。余裕を持って力を出せる自分の主人の実力に。


 京太郎が動き出そうとすると、大きな声をヨモツシコメが出した。

「ちょっと待って! 何事や!」

 ヨモツシコメは京太郎に待てのジェスチャーをして、ハギヨシに視線を向けていた。沢村智紀の呼び出したヨモツシコメはまったく何がおきているのかがわからないのだ。呼ばれていきなり戦うという戦いのパターンというのももちろんある。しかし、今回はおかしかった。

 特に、呼び出されたら不吉としか言いようのない存在が構えていたのだ。普通ならハギヨシが討伐するだろう存在である。

 しかしハギヨシはただ見ているだけなのだからこれはおかしい。また、自分ひとりしか呼ばれていないというのもヨモツシコメには理解できなかったのだ。目の前の「あれ」を相手にするのなら自分ひとりではまったく手も足も出ないからだ。

 ハギヨシが答える前にヨモツシコメのマスター沢村智紀が答えた。

「あなたには須賀くんのテストをしてもらいたい。もしもあなたが負ければ、私は一週間インターネット禁止になる。

 絶対に勝ってほしい。私に一週間は長すぎる」

ずいぶん力がこもっていた。

 まったく戦うつもりがなさそうなヨモツシコメを前にして、大きめの声で京太郎はこういった。

「あの、どうしましょうか?」

 流石に準備ができていないところに不意打ちをかけるような外道ではなかった。二十メートルも離れているので大きな声を出さなくてはならないのが不便そうだった。

 待ってくれというジェスチャーをしているヨモツシコメが答えた。

「サンキュー兄ちゃん、ちょっと作戦タイムや。ええか?

 後、ハギヨシさんちょっとこっちへ」

 京太郎はおとなしく後ろに下がった。目的はこれから向かうどこかに自分の力が足りているかどうかを判断してもらうことである。無理に戦いを始めてもしょうがないのだ。

 京太郎が距離を開けると、ヨモツシコメがこういった。

「うちの引きこもりを殺すつもりかあんたは? あの子ホンマもんの魔人やんけ。

 あと、マスターも油断しすぎやで。アナライズでもかけて楽勝やって思ったんかも知れんけど、サマナーの価値観ではかったらアカンやつやあれは。

 魔人やってわかっとんのに、何でウチ一人だけやねん。全員呼びや。

 あと、あんたはもう少し外にでぇよ、もやしになるぞ。

 確認やけどハギヨシさん、うちらは何やってもええんか? 呼び出せるのは私だけか?」

 かなり怒り気味のヨモツシコメだった。しかししょうがない話である。彼女にとってはマスターが殺されかけているようにしか見えなかったのだから。

 ヨモツシコメが何を言っているのかいまいち理解できていない沢村智紀を置いて、ハギヨシが答えた。

「全戦力を使っていいですよ。一週間のインターネット禁止をかけているのに、ぬるい課題を私が出すわけがありません。

 気合を入れてやりなさい」

 ハギヨシはこういうとさっさと二人から離れた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
265Res/788.70 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice