67: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 06:00:39.99 ID:Joyq1BtQ0
仲魔を使えばいいという虎城に、京太郎が不思議そうに聞き返した。
「仲魔ですか? 俺の仲魔なら龍門渕で農作業してますよ。
それに、俺のほうが力が強いですからね。あいつらがいても俺がやっていたと思いますよ」
実に当たり前の答えだった。淡々と京太郎は答えていた。そしてまったく嘘もない。アンヘルとソックと力で勝負をすれば勝つのは間違いなく京太郎だろう。
そしてこの時間帯、パーティーまで後十分ほどなのだが、おそらく龍門渕で天江衣と家庭菜園を作っている最中のはずだ。
本人たちがそういっていたのだからそうしているだろう。嘘をつく理由もまったくない京太郎だから、正直に答えたのだった。
京太郎の返事を聞いた虎城はこういった。
「ふふふ、面白いことを言うね。仲魔よりも力が強いなんて」
楽しそうに笑っていた。冗談だと思ったのだ。サマナーなのに仲魔より力が強いだとか、自分の仲魔に自由な行動を許しているとか、まったくサマナーらしくなかった。
そもそも仲魔とは悪魔なのだから、自由に行動させていたらとんでもないことになるではないか。
悪魔たちは自分たちと契約を結んでいるだけで忠誠を誓っているわけではない。古い時代には悪魔が忠誠を誓う英傑タイプの人間もいた。
しかし今はそうではない。冷めた機械の時代なのだ。いつ裏切られてもおかしくないのに、自由にさせるなどというのはおかしかった。
笑う虎城に京太郎はこういった。
「そうっすか?」
京太郎も笑っていた。虎城が笑ったからだ。少し元気になってくれたのだと思い、それがうれしくなった。
わからないなという京太郎に、虎城は短く答えた。
「そうっす」
笑いながら答えた虎城は
「うわっ!」
といって京太郎の体にしがみついた。まだ体の力が戻りきっていたないのだ。そのため、笑って油断しているとあっという間に落ちてしまいそうだった。
さて、虎城を背負ったまま京太郎がディーのところに向かうとディーが無精ひげを生やしたおっさんと話をしていた。
無精ひげを生やしたおっさんは四十代半ばというところである。ハギヨシよりも少し背が高いく。わかりやすいくらいに鍛えられた体をしていた。
鍛えられているためだろうか、無地のティーシャツとどこにでもありそうなジーパンとスニーカーでもさまになっていた。
京太郎はこの無精ひげのおっさんを見たとき、ハギヨシとライドウを思い出していた。
京太郎が虎城を背負って現れるとディーが手を振った。軽く手を振って、こっちだと導いている。
京太郎が近づくと無精ひげのおっさんがこういった。
「この少年か……」
低い声だった。見た目の迫力が手伝っているためか、妙な威圧感が言葉に乗っていた。無精ひげのおっさんは京太郎のことを知っていた。
しかし昔に出会ったということではない。資料と人づての情報で知っていたのだ。
京太郎が不思議そうな顔をしているとディーがこういった。
「この人は、ベンケイさん。ハギちゃんの兄弟子に当たる人だよ。たまたまそこであって世間話をしてたんだ」
ディーはすらすらと説明をした。京太郎が不思議そうにしているのを見て、京太郎が初対面だということを察したのだ。
虎城をおんぶしたまま京太郎はベンケイに挨拶をした。
「須賀京太郎です」
虎城をおんぶしているため深く頭を下げることはしなかった。しかし軽く目礼をすることはできていた。
自分の本名を名乗ったのはこの人ならば問題ないと考えたからだ。ハギヨシの兄弟子となれば、ヤタガラスの関係者であろうし、身内に違いない。またディーが親しくしているのなら、本名でも問題ないだろう。
「
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