57: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:21:09.62 ID:Joyq1BtQ0
ディーに質問を飛ばされた京太郎は間を空けて答えた。
「わからないですね。少なくともあの山よりは大きいんでしょうけど」
ものすごく困っていた。富士山サイズの悪魔がいるということだけでも相当とんでもないことである。しかしそれでもまだまだ足りないというのだから、どのくらいなのかがわからない。
58: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:25:32.41 ID:Joyq1BtQ0
異界物流センターの内部に入り駐車場に車をデーが止めた。シートベルトをはずしたディーは京太郎にこういった。
「それじゃあ、俺は荷物を引き取ってくるから、須賀ちゃんは買い物しててよ。大体十五分くらいで済むと思うから、急がなくていいよ。
59: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:29:13.39 ID:Joyq1BtQ0
本屋のカウンターにはどこからどう見て魔女という姿をしたおばあさんが座っていた。いったいどこで売っているのか、昔話の魔女が来ているようなローブ姿である。
そしてその隣にはスーツを着た女性が立っていた。髪の毛を肩辺りできれいに切ったおかっぱのような髪型である。スーツの女性は実に整った容姿をしていた。左右対称で、まったく無駄がないように見えた。
名札には
60: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:33:38.40 ID:Joyq1BtQ0
京太郎が商品を渡すとすさまじく滑らかな動作で商品のバーコードを造魔花子は読み取った。
すでに構えていたバーコードリーダーを使い、あっという間の作業だった。これもまた教えられたとおりの動作である。
61: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:38:48.90 ID:Joyq1BtQ0
今回の目的だったマンガ本を手に入れた京太郎は物流センターの中をぶらついていた。さっさと駐車場にもどってもよかったのだがあまりにも早くことが済んでしまったので暇なのだ。
そもそも車に戻ったところで鍵がかかっている可能性が非常に高いのだ。待ちぼうけなどということになっても面白みがない。ということで初回限定版の漫画が入ったビニール袋を片手に京太郎は歩き回るのだった。
62: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:42:30.45 ID:Joyq1BtQ0
京太郎の提案でディーは意を決して箱の中身を確かめ始めた。肩に担いでいた木箱を下ろして、箱の封を解いた。釘で打ちつけられていたところもあったのだが、ディーの腕力の前には何の問題もなかった。
ディー自身も京太郎に提案されるまでもなく、確かめようという気持ちがあったのだ。京太郎の後押しがあったので、するすると実行に移せたのである。
63: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:46:10.54 ID:Joyq1BtQ0
ディーがハギヨシに電話を始めたので京太郎は氷詰めにされている女性を見ていた。
京太郎が女性を見つめているのは、暴走気味に高まっている感覚が妙にざわついていたからである。
どこからどう見ても女性は死んでいるようにしか見えないのだけれども、微妙に揺れているように感じられた。
64: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:50:16.34 ID:Joyq1BtQ0
京太郎が声をかけると褐色肌の女性がつぶやいた。
「ヤタガラス? 私、生きているの?」
目の焦点が合っていなかった。しかし、間違いなく生きていた。ただ、目の前の状況を信じきれていないようだった。
65: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:53:14.88 ID:Joyq1BtQ0
しかし、完全に何も考えていないわけではない。彼女がすんなりと話をした理由は三つある。一つは、京太郎の服装。
もしも龍門渕のヤタガラスとわかる服装をしている京太郎がいなければ、このように正直に話すことはなかっただろう。
二つ目は、ディーの口からハギヨシの名前が出ていたこと。彼女が知っている評判と、評判を生むにいたった六年前の騒動のおかげである。
66: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:56:59.55 ID:Joyq1BtQ0
ディーの提案に京太郎がうなずいた。まったく反対する気持ちなどなかった。
虎城が少し回復したことは見抜いていたがまだまともに動き回れるほど回復していないのが京太郎にはわかっていた。
これは京太郎の感覚的なものでしかない。なんとなく体の中にあるエネルギーが薄まっているように感じられるのだ。
265Res/788.70 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。