過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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82: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 04:36:23.16 ID:KlUD8s2/0
 煙にまぎれて逃げ出したスポーツカーは来た道を急いで下っていた。アクセルは踏みっぱなし、回転数を上げていくタイヤは道にあとを残していく。

後ろから追いかけてくる松常久とその部下たちの相手をディーはしない。しかしこの逃走は、ディーが敗北を恐れているからではない。

京太郎と同じく加減のできない戦いに発展するかもしれないことを恐れたのだ。周りには異界物流センターを利用しようと集まっているサマナーたちが多くいる。巻き込むわけにはいかない。

 全てのサマナーと悪魔が戦闘に特化しているわけではない。戦闘に尖った力を持つ京太郎とディーが全力で戦うことでおきる余波で、大きな被害が出てしまうのを避けたのだ。

 どんどん加速してもと来た道を戻る中で、ハギヨシにディーが電話をかけていた。携帯電話を操作してハンズフリーの状態になっている。

ディーはできるだけ冷静に話をした。

 「ハギちゃん、俺だ。どうにも面倒くさいことになった。

 松 常久だが、内偵結果をうやむやにするために虎城さんを始末するつもりだ。須賀ちゃんの機転でセンターからは逃げ出せたが、すでに追いかけてきている。

 どうする? 異界で始末しておくか? それとも、現世でやるか? 俺としては人気のないところで始末する方法を推薦しておく。
 
 長引くと面倒くさいことになるぞ、あのタイプは」

 ハギヨシに状況を説明しているのは、ここからは非常に面倒くさいことになるのが目に見えていたからである。

 松常久はどこまでもあがくと覚悟を決めていた。これがそこらへんを歩いている力のない人間のやることならば、それほど恐ろしいことではない。

しかし権力を持ち、影響力を持っている人間だと話は違ってくる。なりふり構わず全力であがくのだ。

 そうなった場合、判断を間違えると長期戦になる可能性が高くなる。殺しきれなくなるのだ。それこそ、スケープゴートを大量に用意されたり、証拠の捏造を連発されるようなことが起きる。

もちろんつぶしていけばいいだけの話だが、時間がかかり、影武者なんぞ立てられたときには本物を探索しなければならなくなる。面倒だ。

 そして、何よりも面倒な人脈を使っての逃亡を行う可能性もある。

 物理的な戦いではなく、人間関係の戦いだ。権力者同士の横のつながりを利用して逃げようとする。捜査を妨害することもあるだろうし、口裏を合わせるようなものもいるだろう。

類は友を呼ぶものだ。残念ながら、よくある話である。

 これらをやられるとハギヨシもディーもつらい。追い詰める打ち合わせが必要になるだろう。

そしてライドウが一枚かんでいるらしいのだから、ヤタガラスの幹部龍門渕とも連携をとらなくてはならなくなる。

松常久といういろいろな場所に根を張っている巨大な問題を綺麗に消すためには周りとの連携が必要なのだ。

 さっさと始末しないことでおきる面倒がディーには見えていたので異界の人気のないところで始末してしまおうと提案するのだった。


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