過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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95: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:26:48.59 ID:KlUD8s2/0
 完全に青ざめている虎城に一拍おいて京太郎がこたえた。

「一応サマナー扱いなんだと思いますよ」

 虎城の質問の意味が京太郎はさっぱりわかっていなかった。京太郎は不思議そうにして、ディーのほうをちらりと見た。ディーが助けてくれないかなと期待したのだ。
以下略



96: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:32:15.99 ID:KlUD8s2/0

 逆に呪術と呪物創作ではまったく京太郎は役に立たない。ウエストポーチの中に入っていた改造マッスルドリンコのような簡単な創作物でもアンヘルとソックの足手まといになる。それこそ手取り足取り、しっかりと手順を耳元でささやかれながら創作しても、失敗する可能性がある。

 これは京太郎が馬鹿だからではなく、アンヘルとソックの「できて当たり前」が非常に高いところにあるからおきるのだ。歩き始めたばかりの赤ん坊に、オリンピック選手のような走りを要求するくらいには「当たり前」が離れたところにある。

以下略



97: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:36:55.59 ID:KlUD8s2/0
 京太郎が説明をするとディーがこういった。

「あぁ、わかるわかる。俺もそんな感じだわ。携帯電話がなくても職場に毎日顔出すからいらないんだよね。

直接連絡を受けることのほうがはるかに多いし。着信履歴は家族と仕事関係ばっかりだわ。携帯電話より家の電話を使ってるほうが多いかも」
以下略



98: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:40:11.11 ID:KlUD8s2/0
 困っているものが二人にふえるとディーがこういった。

「人力ってのは機械に頼らずに悪魔と契約をするってことだな。パソコンが普及する前は才能を持った人間しかサマナーになれなかった。

 十四代目みたいなタイプだな。ハギちゃんもベンケイさんもこれだ。
以下略



99: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:44:11.20 ID:KlUD8s2/0
 ディーの説明を聞いた虎城は顔色を真っ青に変えてこういった。

「神話の時代? つ、つまり……真正の魔人? 確かにそれなら理屈は通るけど、そんな馬鹿な話があるわけがない。

 不死性を捨てるリスキーな契約を結ぶ悪魔がいるわけがない。それに、仮にそうだったとしたら、須賀くんは魔人?
以下略



100: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:48:55.20 ID:KlUD8s2/0
 岩が生え始めて三分後、スポーツカーは運転をやめていた。道がほとんどなくなってしまったからである。

視界のほとんどが岩で埋め尽くされて、引き返すこともできなくなっている。一応道はあるのだ。スポーツカーの前に一本道である。進めばいいところだけれども、少し気が引けるのだ。

というのが、一本道の向こうには円形の空間がある。半径十メートルほどの円形の空間だ。ここは普通の草原だった。
以下略



101: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:52:28.92 ID:KlUD8s2/0
 京太郎を見て、ディーはこういった。

「わかった。それじゃあ、いこうか。

 もしものときは心配しないでいいよ。俺がしっかり守る。これでもめっちゃ強いからね」
以下略



102: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:55:57.32 ID:KlUD8s2/0
 二人が近づいてくると怪しい女性は動き出した。まず怪しい女性は京太郎を指差した。

右手の人差し指を京太郎に向けて、ゆらゆらとさせている。前髪が長すぎるために表情はさっぱり見えない。

しかし前髪の向こう側で輝く赤い目が見えた。その赤い目が京太郎を前にして形を変える。光の形からして笑っている。
以下略



103: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 05:59:09.18 ID:KlUD8s2/0
 京太郎が近寄ってくるのを見ていた怪しい女性は笑っていた。うれしいらしい。引きずっている長い髪の毛が笑うたびにゆさゆさと震えている。

人型のモップが震えているような滑稽さがあった。しかし、女性の風貌が、特に前髪の奥で光り輝いている赤い目が、馬鹿にさせてはくれない。恐ろしくてしょうがない。

 笑い声も金属的な響きが多く含まれている。声を出すのもへたくそだったが、笑い方もへたくそだった。
以下略



104: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 06:03:34.64 ID:KlUD8s2/0
 
 激痛に一瞬京太郎は顔をゆがめた。痛くてしょうがなかったのだ。しかしほんの一瞬のことだ。一秒もない空白の時間。しかしこの空白の時間を怪しい女性は見逃してくれなかった。

 一瞬気を抜いた京太郎の右手をつかみにかかったのだ。怪しい女性からしてみれば、京太郎の手を握るのが目的なのだ。自分からのこのこやってきた京太郎を見逃す理由はない。

以下略



105: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/14(火) 06:05:44.91 ID:KlUD8s2/0
 京太郎の胴体に腕を回していた怪しい女性は更に十秒ほど抱きついたままだった。

細くて白い両腕を京太郎の胴体にまきつけたまま、じっとして動かなかった。

 抱きついて二十秒が過ぎるというところでいよいよディーが動き出した。
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