過去ログ - 春香「響ちゃん、キスしてみよっか」
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9: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/03(金) 23:58:52.61 ID:FQt7ToRX0
誰かが自分を呼ぶ声が聞こえる。肩を揺すって、起きるように促す。きっとプロデューサーだろう。
響「あふ……おはよ……う」
春香「おはよう、響ちゃん」
10: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/03(金) 23:59:42.28 ID:FQt7ToRX0
響「なっ!? プロデューサーは?」
春香「プロデューサーさんには私がつきそうって言っておいたから」
響「そ、そうなんだ……ごめんな、時間取らせちゃって」
11: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:00:23.29 ID:XZ6dq+eC0
春香「……そういえば、響ちゃん」
とりとめのない話の切れ目に、春香はふと思い出したようにとんでもないことを言い出した。
春香「キス、してみない?」
12: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:01:17.84 ID:XZ6dq+eC0
温かい、そう思った。
最初の時より感触を、春香の体温を感じ取れた。
春香「っぷは……どうだった、響ちゃん」
13: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:02:09.82 ID:XZ6dq+eC0
それから、春香は毎日のようにキスをしてきた。自分も、何も分からない様な顔をしてそれを受け入れた。
幸せだった。好きな人から毎日のように受ける口づけは、それが彼女にとって好奇心や親愛によるものであると分かっていても、自分をはかない幸福感で包み込んでくれた。
だけど、それはやっぱり偽りの上に成り立つ幸福であるという事も重々自覚していた。春香にその気はない事は事の起こりを思い出しても明らかだ。
14: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:02:44.04 ID:XZ6dq+eC0
その日、春香は事務所に帰ってこなかった。電話にも出ないし、メールも返事をしてくれない。翌日以降も、皆の居る前ではいつも通りだが、自分と二人になりそうになると途端にどこかへ行ってしまう。
春香に会いたい……けど、会って何を話せば良いんだろう? 謝罪? 告白? それとも誤魔化して、これまでの関係を続けるのか?
困り果てた自分は、もう一人の親友に相談する事にした。
15: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:03:36.87 ID:XZ6dq+eC0
貴音「……そうですか。その様なことが」
全てを聞いた後、貴音は静かに涙を流し始めた。
響「た、貴音!? どうしたんだ!?」
16: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:04:32.59 ID:XZ6dq+eC0
貴音「それで、響は……春香の事が好きなのですね」
響「……うん」
貴音「響は春香とどうなりたいのですか?」
17: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:05:15.65 ID:XZ6dq+eC0
他の誰かの物に……その言葉に胸が痛んだ。
想像したくもない。あの唇が他の誰かと触れあうなど。あの笑顔が、優しい言葉が他の誰かだけに向けられるなど、考えたくない。
響「だけど、そんなの……」
18: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:06:01.21 ID:XZ6dq+eC0
貴音「そうする自信がないのなら……伝えなさい、響。想い人が、いつまでも己を待っていてくれる等と高を括っていては……後悔しますよ」
そう言い残して、貴音は部屋を出て行った。
19: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:06:37.76 ID:XZ6dq+eC0
貴音が出て行ってから1時間は経っただろうか。随分悩んでいたので、それほど時間が経ったようには感じなかったけれど、時計を見るとそれくらいは進んでいた。
春香に想いを伝えよう。そう決意した。
このまま誤魔化しながら友達を続けていても、貴音の言うとおりきっと後悔する。気持ち悪がられようと、この想いを伝えてしまった方がきっと良いはずだ。後は、どうやって春香に会うかだけど……
20: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:07:40.01 ID:XZ6dq+eC0
悩んでいると、がちゃりと扉の開く音がした。
春香「貴音さん、話って……っ!?」
久しぶりに見た春香は、自分の記憶よりやつれて見えた。春香は自分を見ると驚いた顔をした後、急いで踵を返そうとする。
21: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:08:24.89 ID:XZ6dq+eC0
春香「話って……こないだまでの事について、だよね?」
先に沈黙を破ったのは春香だった。
響「それもあるけど……」
22: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:09:23.58 ID:XZ6dq+eC0
響「……好き、なんだ。春香のことが」
ようやく絞り出したか細い声は春香に届いただろうか。頭が熱くて熱くて、目線を春香にあわせることも出来ないから、よく分からない。
響「春香が遊びで始めたキスで気付いたんだ、自分の気持ちに。自分、春香の事が好きなんだ! 多分、765に来た頃からずっと! 優しくて、まっすぐで、誰とでも仲良くなれる春香のことが、自分は大好きなんだ!」
23: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:10:06.50 ID:XZ6dq+eC0
何なのだろうかと勘ぐっていると、急に抱きしめられた。そして大きな声で泣き出した。
自分はいまいち状況が飲み込めぬまま、しゃくり上げる春香の背中をさする。春香の泣き声はだんだんと小さくなり、最後には聞こえなくなった。
春香「響ちゃん、ごめんね」
24: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:10:38.02 ID:XZ6dq+eC0
春香「でもね、私は響ちゃんの思ってるような子じゃないんだよ。響ちゃんの純粋な心を利用してた、最低の人間だもん」
響「っ!? それ、どういう事?」
春香「……響ちゃんってさ、結構にぶいとこあるよね」
25: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:11:39.10 ID:XZ6dq+eC0
響「嘘……だって春香は」
春香「騙してゴメンね。私、響ちゃんの純粋で押しに弱い性格を利用したの」
春香「最初は一回、遊びみたいな感じで一回するだけのつもりだったんだけど……気付いたら、自分を抑えられなくて」
26: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:14:18.76 ID:XZ6dq+eC0
響「違うぞ! 確かにきっかけはそうだったけど……だけど、自分気付いたんだ!」
響「黒井社長に捨てられて、行き場を無くした自分たちを765プロに迎えて……かみついてばっかりだった自分に優しくしてくれた。そんな春香だったから好きになったんだぞ! 誰でも良かったなんて、自分を馬鹿にするな!」
春香「響……ちゃん?」
27: ◆.xKc9zwqNY[sage saga]
2015/04/04(土) 00:15:19.04 ID:XZ6dq+eC0
そうだ。自分の気持ちを行動で表すのだ。何をすれば良いのか、それは春香がずっと教えてくれていた。
春香「証拠?」
何度も繰り返したその行為を口にするとなるとこれほど勇気が要るものなのか……だが、春香だって好きと言ってくれたんだ。ここで言わなきゃ、我那覇響の名が廃る。
28:名無しNIPPER[sage]
2015/04/04(土) 04:45:05.62 ID:33iZ5psK0
よかった
乙
29:名無しNIPPER[sage]
2015/04/04(土) 05:13:53.52 ID:f1xVw1bT0
心ががなはる
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