過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2015/04/22(水) 02:12:06.37 ID:HEFpIzrTo
なんてことをアーニャは考えていると、鼻孔に幽かな違和感を感じる。
気のせいかとアーニャは潮風を念入りに嗅いでみると、やはり気が付いてしまえば意識的にはっきりとしてくる。
やはり気のせいではない。その中に混じる明らかに異物の臭い。
そう、記憶になじみのある何度も嗅いだことのある嫌な臭いだった。
ほとんどが潮の香りだったのだが、その中にでもはっきりと主張するアーニャにとって最近めっきり嗅ぐことのなくなった臭気。
ただの一般人、とくに嗅いだことのないものには気づかないであろう独特の臭いだ。
アーニャはゆっくりと立ち上がって、その微かな臭いをたどる。
「なんで……こんなところで、血の臭いが?」
戦場でならばごく当たり前の血の臭い。
アーニャにとっては不本意にも少しだけ懐かしさのおぼえるその臭いは、この街でほとんど嗅ぐことなどないだろうとアーニャは高をくくっていたのに。
アーニャは歩くたびに、その臭いがきつくなっていく。
内臓をぶちまけたような悪臭は、アーニャを不快にさせるが当然放っておくことはできない。
一歩、一歩アーニャは歩いて、そして一つの倉庫にたどり着いた。
見た目は他の倉庫と何も変わらない没個性の倉庫なのだが、まるでその先の血の池があるかのような隠しきれない強烈な死臭。
どんな殺し方をすればここまでの悪臭をぶちまけられるのかという疑問と共に、得体のしれない不気味な恐怖さえアーニャは感じた。
「シトー……なんで、しょう?この中でいったい?」
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