過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆R/5y8AboOk
[sage saga]
2015/08/14(金) 04:00:26.96 ID:+FUAmXwk0
同刻。
ブラムの方角から走り抜けた振動を知覚して、格闘戦の間隙を縫って戦艦を見上げた和久井留美にも、禍々しく直立するそれは認められた。
「肝心なところで派手好きね…」
恐らく───いや、確実に飛鳥の仕業だろう。
上で銃撃戦が起こっていたのは理解しているが、あそこまで大胆に能力を行使するほどGDFに追いつめられていたか。奴等も素人でない。相手がただの人間と言えど、能力者だのといったアドバンテージは容易に覆されかねないと言うこともあろうが、あそこまでやられては後に響かないだろうか。
彼女はそれなりの面識はあると言っても、外様の人間だ。野望の鎧───その一部さえ掠め取れるなら、後の無視はいくらでもできるが、しかし。もし死人でも出されようものなら、『社長』の機嫌を損ねることにも繋がりかねない。
個人的に、それは勘弁したいものだが───。
「余所見!してくれるのかぁッ!!」
刹那、全身ごと怒声を張りあげた鋼色───カミカゼが抉るような軌道で迫り来る。頭部アーマーのスリットから覗く眼孔が留美を撃ち抜くや、強引に跳ね上がった握り拳が一閃。慌てて構えたガードの上から衝撃が全身を貫き、一瞬内臓の浮くような感覚を味わった。
びりびりと走る殺気が目の前で燃え立ち、強化ライダースーツの下の肌毛が焼き散らされるように思える。腕を押し退けた先で強く存在感のあるカミカゼの瞳と睨み合った留美は、「六骨…」と耳元を過ぎった呟き声に身を粟立たせた。
また来る。あのやたらと素早い六回の打撃。見知らぬ鎧をまとった戦士が。
先刻に左半身を襲った数発の衝撃を反芻し、二度目はないと内心吐き捨てた留美は、正面を向いたまま意識を先鋭にさせる。こちらを抑えようとカミカゼが力を込めるタイミングに意識を凝らし、目を細める。
拳を払われても怯まず、ほぼ全身で体当たりを仕掛けてくる。このままでは回避の動作を潰され、直後に来る打撃に晒されてしまうだろう。───だがしかしその瞬間、企業の先兵はカッと目を見開き、全身の体重を乗せた突撃が直撃する瞬間に合わせ、背後へと跳躍した。
己の脚力とカミカゼの突進を乗算し、砲弾めいた速度で背後に加速し、ぎょっとした息遣いがうなじを擽る。両者歯を食いしばった直後、芯のずれた衝撃が両者の体を揺さぶり、放たれんとされていた六発の拳は、一発目を半ばで押し潰されて不発に終わった。
────技名を宣言するとはナンセンス。
ヒーロー同盟が演出主義で戦わせるから、こうして対応される。
もつれ合った二人の攻防の分かつのは心構えの差。ぶつかるよりも早く体をしならせていた留美は、鎧の戦士の四肢に絡み付き、自分ごと回転させて地面へと投げつける。
そのまま受け身の体勢すら取らずにいた敵はそのまま無様に頭を打つかと思われたが、落下した地面にどぷりと波紋を広げると、そのまま地面を水に見立てたように沈み消えていった。───成る程。海底産か。
こちらの曲芸に驚く素振りも見せずに突進してくるカミカゼを銃撃で牽制し、留美もまたしなやかに着地した。その背後から戦闘外殻が浮かび上がると、留美を中心に二人のヒーローが座して構え、落ち着けぬ静寂が場に張りつめる。
物質潜行能力をもってすれば、この場を切り抜けて飛鳥の元へ向かうこともできたであろうが、それをしなかったのはこちらの危険度が高いと見ての判断か。───妥当か。この場にはヒーロー同盟が陣取っていること。よしんば、ヒーロー同盟が一つの戦場に多数の戦力を送りたがらない悪癖───商業上の見栄えを考えれば仕方のない部分もあるが───を発揮したとて、GDFの増援、ひいてはシンデレラ1が控えているのだ。欲張って自分たちで対処する必要もない。
『…聞こえるかい?留美さん』
───と、思いを巡らせていると、ヘルメットの下に潜ませた通信機がノイズを吐き出し、くぐもった声がヘルメットの中に響いた。
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