過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆R/5y8AboOk
[sage saga]
2015/08/14(金) 04:02:35.79 ID:+FUAmXwk0
『人質を取った、交渉は成立。野望の鎧は手に入ったも同然だよ』
「…そう、それはご苦労様。後は手筈通りにね」
『了解。切るよ』
それだけを言うと通信は一方的に打ち切られ、ノイズの残響を残す。あの巨人がどうしたら人質に繋がるのか、少し気になるところではあったが、その辺はあとで聞いてみればよかろう。
ただ、もう居座る理由はない。
適当に勝利宣言でお茶を濁して、どこかに消えてしまおうか───思い、ぎゅっと握り込んだ右の拳を緩めた、その時だった。
常人の数倍にもなる反射神経が、ぼうぼうと空気を灼きながら何かが迫る音を聞き、コンマ数秒後上体を反らすと、その傍らを眩い一本の光軸が貫いた。
ライダースーツの表面に熱が当たり、光の突き刺さって地面が赤熱する。上空から来るビーム攻撃。ヒーロー同盟の差し金かと思考し、そのまま追撃を回避しようと構えたが、その次に来る射撃はヒーローをも対象にするかのように飛来した。
白い翼を輝かせ、何者かが一直線に飛んでくる。
ビームは牽制。ひたむきなまでに一直線の軌道で飛ぶそれは、猛禽の如き攻撃の第一目標に留美を見据えた。それ自身が弾丸のようになって飛ぶ白き翼の右手には、汚れのない純白の刃が煌めく。
「そこを動くなぁぁあああッ!!」
バック転を打って回避した留美の一歩手前を斬った剣が勢い余ったように地面に突き刺さり、小柄の乱入者の体が振り回される。刀身の纏った光粒子の向こう、誰何する視線を投げかけた留美は、爛々と紅く輝く瞳がこちらを睨み付ける様を見た。
怯んでいない。まだ来ると覚悟した直後、小柄の背負った翼が不吉にうねり、恐るべき触腕となって振り乱される。巨大化しながら回転するそれは、ヒーロー達をも当時に巻き込む攻撃であった。様子見の体制を取っていた二人は即座に距離を取り、無造作な攻撃を逃れる。
たが本命はあくまで留美。両サイドから挟み込むように動いた翼が迫り、しかし。留美は離脱を図らない。その代わりに左手の銃を振り捨て、その両手を堅く握り込み腰を落とした。
「…ッ!!」
逃げ場を押さえる軌跡を描いた翼の二振りが、禍々しいギロチンを思わせて留美を挟み込む。惨い両断死体が連想される刹那、直撃と同時に鈍い破裂音が炸裂した。「何っ!?」両サイドへ裏拳を叩き込んだのだ。衝撃波で弾き返され、白い泥が四方八方に飛び散る。仕留めること叶わなかった。乱入者はたたらを踏んだ。好機。
留美の瞳が刃を思わせる鋭さを放ち、その直後、彼女の姿が霞んだ。直後に消える留美にぎょっと目を剥くも一瞬、とっさに構えた剣の腹を水平チョップが打ち据えると、もう片方の手を敵に突き出す動作は両者ともほぼ同時だった。一方は素手のまま突き出す貫手。一方は剣の半分をもぎ取り、モーフィング的変形で短剣の形に整えて一閃、貫手が刃を嫌って激突すると、白い泥がその表面から飛び散った。
振り回される両手の剣戟が連続し、そのたび火花の代わりに白い泥が二度、三度と弾ける。純白の武器が不意打ち気味にスパイクに変形し、それすらも対応した右手が持ち手ごと武器を握り包む。
握られた拳から骨の軋む音が聞こえ、ぎょっとして左手の剣が渾身の力で振り下ろされ、すかさず対応した掌底が一際強く激突し、衝撃波の反発で両者ともに飛び退いた。
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