過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆R/5y8AboOk
[sage saga]
2015/08/14(金) 04:05:29.06 ID:+FUAmXwk0
地面にを引きながら踏みとどまり、留美はガンベルトに収まる残りの武器の感触を確かめながら、不機嫌な声を投げる。これもまた鎧の戦士。だが、ひどく小柄だ。人間であるなら、未発達の子供と言うほかにない。
「何者?」
寸分の迷いもなく輝く瞳が留美を撃ち抜き、その鮮烈な赤の印象を際立たせる。
「…アタシは…!正義だ…!」
「胡散臭いわね…」
「黙れ…!さっきの爆発はお前だろう…!だからアタシが裁く…!」
怒りの漲った声音には、己が真であると疑わぬ愚直さすらあった。尋常ではない。子供の無邪気で何か良くない物に触れ、精神を汚染でもされたのか。
そもそも人間ではない可能性はあるが、成る程やりずらい────。
内心に吐き捨て、この場を切り抜ける算段を整え始めたとき、真っ先に動いたのはヒーロー。
「…付き合ってられるか!ライラぁ!やらせとけ!」
機先を制して叫ぶと、やおらカミカゼが己の鎧のホイールを地面に擦り付け、背負ったエンジンを駆動させる。奇妙な姿勢で体を疾らせると同時、風を浴びながら鎧をバイクに変じさせると、機動形態となったビークルに跨がる向井拓海は爆発的加速で離脱を図った。
「……!?待てッ!」と小柄が反応するのは一瞬遅く、気を取られた瞬間を付いて物質潜行した戦闘外殻もそのまま沈み消えていく。体の半分を沈めた彼女の姿を睨み、ビーム攻撃を放とうと指先を向けたが、気の逸れた挙動は恰好の隙と言うほか無かった。
『…ヒカル!危ない!』
不意に駆け抜けた第三者の声を聞き、ぎょっと訝しむ思いが生まれもしたが、留美が引き金を躊躇う理由にはならない。結論、小柄の持つ剣から発していた声は、直後に爆裂した破裂音の連続に掻き消され、小柄は何よりもその不吉な響きに反応した。
留美が両手に携えた過剰改造マシンピストルが唸り、瞬間火力のみを突き詰めた鉄の嵐がばら撒かれる。反射で生み出した泥の防壁から小石の当たるような金属音が連続するのを聞いたヒカルは、弾かれるようにして跳躍、翼で飛翔し、被害の軽減に思考を塗り潰した。
急加速に伴うGが内臓を掴むのがわかった。早鐘を打つ鼓動。噴き出す嫌な汗。不快感に惹起され、このまま逃げ出そうとする己が顔を出すのを知覚したヒカルは、ぎゅっと歯を食いしばり、鋼色の美学で弱気を噛み殺す。
───正義の味方に恐れなど……!
奮い立たせる感情に励起されるように、頭皮がざわりと不可視の波を伝える。きつく閉めていた瞳をかっと見開き、二振りの剣先に攻撃色の光を漲らせたヒカルは、瞬間、見下ろした地面視線を走らせたにも関わらず、それらしき影が見当たらないことにはっとした。
逃げたのか。真っ先にその思いが立ち上り、裂帛した感情が行き場をなくすような虚無感に苛まれる。何なんだ、さっきのやつらも、小賢しい。敵はこの刹那ではそう遠くに行けないはず。どこだ、どこに逃げた────。
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