過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆OJ5hxfM1Hu2U
[sage saga]
2016/02/10(水) 16:42:00.14 ID:WON0jd3s0
ここで彼はサイバネ脚に絡みつく茨のツタめいた物体に気付いた。それは植物の柔軟さでサイバネ脚を絡め捕りながら、鋼鉄の頑強さでその重量を支えていた。
「エエイ生意気! 最新鋭テックをナメるな!」
ロータスクードは高振動クローでツタを切断しようと試みる。(無駄なことだ)片膝をついて身を屈めるアイは無感動に呟いた。サイバネ脚は微動だにせぬ。
ツタはそれ自身が意思あるいは知性を持つかのごとく、サイバネ脚の関節を極めていた。もはや1ミリとてアイの身体が危険に近付くことはあるまい。
(ねえ、アイ、すこし重いわ)
アイの脳裏に声。その主は彼女がコンパクトに構える妖刀『茨姫』だ。鋸刃めいた刀身の根元、柄からは茨のツタが十本生えている。
(そうか。なら、早めに片付けよう。もう少しだけ、頑張れるね?)
(もちろん! アタクシ、アイの期待は裏切らないんだから!)
声はにわかに力強く、同時にツタがグンと伸びた。長さ13メートルに達したそれは禍々しくうねりながら、ガッチリ抱え込んだサイバネ脚を掴み続ける。
身動きのとれぬまま空高く揺られ、ロータスクードを恐怖が支配する。この高さから地表に叩きつけられれば、ヒーロー肉体を有する彼とて勢い次第で死ぬ!
遥か眼下で傭兵は立ち上がり、鋸刃の妖刀を打ち振るった。ツタが鞭めいてしなり、ロータスクードは今や地獄のジェットコースターを体感!
「アアアーッ! ヤメロ! ヤメローッ! アアーッ!」
水柱が上がる。哀れな堕落ヒーローは地表激突死を免れ、代わりに頭から胸までプールに沈んでいた。
無慈悲な傭兵は一本釣りめいて彼を引き上げ、再び沈める。三度目の水没でロータスクードの心は完全に折れていた。
「……起きたまえ。ヒーロー肺活量をまともに鍛えているなら、この程度では死なないはずだ」
ロータスクードは目を開き、直後、決壊ダムのごとく水を吐き出した。彼を見下ろす傭兵は逆光で黒い影。
「ハイ……ゴメンナサイ」
息も絶え絶えに、果たして何に謝っているのか分からぬまま辛うじて言葉を漏らす。傭兵はロータスクードのサイバネ脚を三本、無造作に引きちぎった。
徐々に意識がハッキリしてくると、彼の中で激しい怒りが湧き上がった。傭兵にではない。理不尽な言いがかりをつけ、このような目に遭わせた兄にだ。
……報復を。自分が味わったのと同じ恐怖と絶望を、センジュカンノンに。それができるのは、まさしく眼前の傭兵のみ。
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