4:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:10:15.75 ID:lE2tgw5So
雨音にまぎれて階下で甲高い笑い声が聞こえる。
ことりのお母さんはもう帰っていたらしい。
昔なじみの同級生と語らう時の、少し子供じみた話し方。
相手はおそらく私の母上だろう。
泊まりの言付けを入れた際に、再び掛け直すと聞いていた。
言葉までは聞き取れないものの、
砕けた雰囲気が閉めたドアの隙間にも染みるようで、
私は思わず掛け布団を引いて二人分の身を隠してしまう。
狭い布団の中では、自分の息と胸の音がやけに耳障りだった。
無理に潜り込んだせいで、ことりがか細い声を洩らす。
醒めきらない生乾きの息のにおいが唇の肌触りまで思わせる。
「あは……うみちゃんだぁ」
花弁が静かに開くような、無防備な微笑み。
私はそれすら覆い隠そうと、
腕の中に引き寄せるも、その先にことりの居場所を見つけられずにいた。
身をよじらせて少しずれた布団の隙間、窓の桟が明るい。
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