過去ログ - 歩美「神様ゲーム」
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15:名無しNIPPER[saga]
2015/04/05(日) 21:25:30.70 ID:b6JeyJkM0
「明白といっても証拠はないんじゃろ? 新一。
そもそも光彦くんの件も通り魔が犯人なんじゃろうし。とても名探偵とは思えんの」

「ああ、俺は探偵失格だ。証拠も十分でないのに犯人を指摘したことで、
これで博士がぼろを出す可能性もほとんどなくなってしまった」

「ふむ、どうにも新一らしからぬ言動が続くの? お主は本当に新一か。コナンくんと新一は本当に別人だったのかの? 
わしから何らかの発言を引き出して録音しようなどと考えても無駄じゃぞ。
なにせわしは誰も殺していないのだからの」

 博士は高らかに笑う。

「録音も盗聴もしてねぇよ。どうせ博士は探知機を持っているだろうし、
録音できたとしても事件の核心を突くようなこと、証拠となることは話さないだろうしな」

「ふむ、まあ誰も殺していないにせよ、疑われるような言動は慎まねばの。
光彦くんを殺した犯人を早く捕まえてもらうには、余計な情報で捜査を撹乱したくないしの」

「最後にひとつ聞かせてくれ。なんで鈴木くんを神様だと思わせようとしたんだ?」

「わしには分からんが、誰かに仮に神様にしたてあげる動機があるとすれば、恐らくゲームじゃよ。ゲーム。
子どもの遊びに付き合うのも大人の仕事じゃ」

 確かに初めから本気という感じはなかった。
鈴木くんを神様と信じさせたところで、特に誰かに大きな利益が発生するというわけではない。
恐らく、担任の小林先生は鈴木くん信仰のようなものが生まれていたことを知っていたはずだが、
注意するほどのことではないと思っていたはずなのだ。その程度のことなのだ。

「無論、全く目的がなかったわけではないと思うぞ。
例えば、鈴木くんを使って新一の名探偵信仰を揺さぶったというのはどうかの。
どうじゃ、一瞬、鈴木くんは神様じゃないかと新一も思ったんじゃないか?」

 確かにもしかしたらとは思ってしまった。だが、鈴木くんは神様でもなんでもない。俺は強がりを言う。

「一瞬たりとも神様だなんて思ったことはないさ。
確かに鈴木くんはアポトキシン4869で若返った、阿笠博士の協力者ということを見抜くには少し時間がかかったけどな」

「どうしたんだ? 新一。人を若返らせることなんてできるわけがないじゃろ。
不老の研究も残念ながら失敗に終わったからには、
次に不死の研究をしようと思っているのじゃ。そのためには新一の協力がいるんじゃよ」

 どういうことだ? 博士の頼みなら喜んで協力したというのに……。

「究極の毒薬アポトキシン4869から不老の秘薬が生まれたように、
不死を生むには死の研究をしなければならん。
新一も気づいておるじゃろ。自分の持つ死を引きつける能力について」

 確かに俺が事件に遭遇する確率は高い。
もちろん俺自身が事件の発生を察知する能力を鍛えているということもあるが、やはり異常と言えるのかもしれない。
だが、それが不死の研究とは全く関係ないように思える。

「これは推測に過ぎないのじゃが、誰かはきっと気づいたんじゃよ。
新一の行く先々で人は死ぬが、新一と親しい人はほとんど死んでいないということに。これは不死につながる一例じゃ。
だから犯人は試したのじゃ。新一が自身の推理能力に疑問を抱いた時、新一の親しい者が殺された時、
新一の親しい者が疑われている時……、どの範囲で死は引きつけられ、どの範囲で死は遠ざけられるのか。
実験することは科学の基本ということじゃの。
それに犯人が分かっても証拠がない時も挙げておこうかの。
どうやらわし以外にも不死の研究をしている天才がいたようじゃ」

 博士の目に確かに狂気を感じた。
何故、俺は博士がこうなる前に止めることができなかったのだ。俺はやはり探偵失格だ。

「もう少しで警察はここにやってくる。博士は捕まる。証拠もあるんだ」



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