過去ログ - 歩美「神様ゲーム」
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16:名無しNIPPER[saga]
2015/04/05(日) 21:30:38.99 ID:b6JeyJkM0


 あたしは矢も盾もたまらず、登校したばかりのコナンくんを捕まえました。
鈴木くんはまだ登校していませんでした。何故かもう登校してこないような気がしました。

「哀ちゃんが光彦くんを殺したって本当なの?」

 コナンくんは表情を変えないまま淡々と話します。

「ああ、本当だ。灰原と阿笠博士が協力して、光彦を殺害した。俺たちはアリバイ作りに利用されたんだ」

 灰原さんは犯行に利用した博士の発明品の数々を持ってきて、警察に出頭したそうです。
そしてその証言を重く見た警察は直ちに阿笠博士を逮捕しました。
光彦くんは、博士が身元不明の少女である哀ちゃんを家で虐待していたのを知り、哀ちゃんを助けようとしていたのですが、
それを疎ましく思った博士が哀ちゃんに命じて光彦くんを殺害させた、というのがまことしやかに流されてきた噂です。
あたしには何ひとつ信じることができませんでした。
哀ちゃんが虐待されていたことも、哀ちゃんが光彦くんを殺したということも。

「噂は真実だ。俺もうすうす博士の虐待に気づいていたんだ。
なのにどうしても博士を疑うことができなかった。俺は探偵失格だ」

 やはり、コナンくんの台詞はまるで台本を棒読みで読んでいるような、心のこもっていないものでした。

 コナンくんは表情を隠すようにうつむきながら、あたしに聞きました。

「なあ、歩美。灰原と光彦、お前にとってどっちが大切だ?」

「そんなの……分からないよお」
 哀ちゃんも光彦くんもどっちも大切な仲間です。とても選ぶことなんてできません。

「ああ、俺もだ」

 授業の開始を告げるベルが鳴りました。
眼鏡のレンズの反射かとも思ったけれど、コナンくんの目には確かに涙が浮かんでいました。

<完>


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