5:名無しNIPPER[saga]
2015/04/05(日) 20:44:30.98 ID:b6JeyJkM0
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「なあ、灰原。お前は鈴木くんについてどう思う? 本当に神様だと思うか?」
阿笠博士のソファの上に寝そべりながら俺は聞く。
灰原哀は俺と同じく、黒の組織の毒薬、アポトキシン4869によって子どもの体にされた、いわば同志と言っていい存在だ。
アポトキシン4869は死後証拠の残らない毒薬で、俺はそれで殺されかけ、灰原はそれで自殺しようとしたのだが、
思いもよらぬ副作用によって若返ってしまったのだ。
「あら、工藤くん。あなたも鈴木くんを神様だと信じているわけ?」
工藤新一とは、高校生探偵だった頃の、俺の本当の名前だ。
俺が工藤新一だと知っているのは灰原、阿笠博士他数名といったところだろう。
俺が子どもの姿になっていることがばれると、俺を殺し損ねた黒の組織に再び狙われてしまうことになるだろう。
うっかり秘密を漏らさないよう気を使って話すのもなかなか大変なので、灰原と話すときはリラックスすることができる。
「んなわけねーだろ。名探偵っていうのは神の仕業にも見える不可思議な現象を、
理知の力で現実であることを証明する仕事だぜ。
神様が本当にいたら商売上がったりだよ。科学者であるお前も当然、神様なんて信じていねーだろ」
灰原は元々、黒の組織の一員でかのアポトキシン4869を開発したのも灰原自身である。
現在は阿笠博士の家に同居して、アポトキシン4869の解毒薬の研究をしている。
「科学者でも神の存在を信じている人は意外と多いのよ。
神様が作ったとしか思えない美しい数式や自然法則からその存在を信じたり、逆に不合理だからこそ信じたり」
「じゃあ、鈴木くんが神様だって言うのかよ?」
「それは別よ。神様がいようがいまいが、鈴木くんはそれではないと思うわ。どちらかというとある種の超能力と言っていいような、鋭い直感を持った人間と考えるほうが自然じゃないかしら」
「背後に何らかの組織がいるという可能性はないか?」
「黒の組織ということかしら? それはないと思うわ。
鈴木くんからは黒の組織の一員だという『匂い』は感じないもの」
灰原は黒の組織のメンバーの『匂い』を感じ取ることができるという。これもある種の超能力と言っていいのかもしれない。
「名前からすれば、鈴木財閥の関係者である可能性もあるか。
いや、そうだとすると園子が何とか言ってきそうだし、
鈴木財閥が仮に地震を100%予知できるような発明をしていたとしてもこんな使い方はしないか」
鈴木園子とは、俺の幼馴染である毛利蘭の親友で、日本を代表する財閥である鈴木財閥の一員である。
気さくな性格で俺たち少年探偵団ともよく行動を伴にしている。
俺たちのクラスに鈴木財閥の関係者がいるならば、まず話題になっているだろう。
「鈴木くんが何者にせよ、何故、自分を神様と信じ込ませようとしているかが問題だな。まさか宗教団体を立ち上げるわけでもあるまいし」
「そっちは私の専門外ね。謎解きに期待しているわよ。探偵さん」
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