10: ◆Freege5emM[saga]
2015/04/06(月) 22:41:38.43 ID:Busjx15yo
●14
ほたるちゃんと私が、事務所や出先で偶然すれ違ったりして、
しかもスケジュール的にちょっと抜け出すぐらいの余裕がある――なんて、幸運な巡り合わせがあると、
私はほたるちゃんと二人きりにさせてもらいます。
「茄子さん、私は……もう、こんなことは……っ」
以前、オーディションの前に不安がっていたほたるちゃんを慰めたように、後ろから抱きしめてあげたり、
精神的に打ちのめされて部屋から出られなくなったのを落ち着かせたように、頭を撫でてあげたりします。
「ほたるちゃんは、イヤなんですか?」
「……う、その、それ、は……」
ほたるちゃんは歯切れの悪い態度で口ごもりますが、
私の腕を拒否することはしません。
それって、ほたるちゃんだって満更でもないってことですよね?
私、ほたるちゃんの色んな姿を覚えてますよ。
例えば、目の色だけでも。
緊張でぷるぷる震えているほたるちゃんを抱きしめてあげた時、
その腕を離す瞬間、彼女の瞳ごしに見えた名残惜しさを。
いつだったか、私がほかの小さな子の頭を撫でてあげている時、
それを羨ましそうに遠巻きから見ていた彼女の目遣いを。
「私は、ほたるちゃんと一緒にいられるの、全然イヤじゃないですけどー」
「……かこ、さん……」
ほたるちゃんの抵抗は形ばかりです。やっぱり、恥ずかしいんでしょうね。
私のことを怖がっている素振りだって本気じゃないでしょう。
だって、度重なる不幸に抗いながらアイドルを続けているほたるちゃんが、
今更私のことなんかを恐れるなんて、ちゃんちゃらおかしい話ですよ。
「だーいすきですよ、ほたるちゃんのこと♪」
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