過去ログ - ABE NANA Z〜アイカツの「F」〜
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◆2YxvakPABs
[saga]
2015/04/10(金) 22:53:23.32 ID:N8MCYESO0
「……菜々さん、ここにいたんですか」
ステージ裏に、プロデューサーが顔を出す。菜々は慌てて後ろを向いた。まだ目に涙が残っている。それを慌てて全部拭う。
「プロデューサー……その……フリーザさんは……」
「……は? フリーザ……さん?」
「……?」
プロデューサーは何のことだろうと首をかしげていた。
菜々も、そんな彼の反応に首をかしげてしまう。
「菜々さん、ここは新世代アイドル育成ペアだけのライブですよ。ペアのいない菜々さんがなぜこんな所に?」
その言葉を聞いて、菜々は全てを悟った。
元々この世にいなかったフリーザが消えたことによって、それに関係する記憶や出来事が消えてしまったのだと。
にわかには信じられないが、そもそも信じられないことばかりだったのだ。今更ありえないと思う菜々ではない。
ただし、菜々だけは覚えていた。
(忘れませんよ、フリーザさん。あなたがいたこと、一緒に活動したこと、あなたのせいで死にかけたこと)
ふっ、と菜々は笑った。
例えこの世界の誰もが覚えていなくても、彼女1人が忘れなければ、フリーザがここにいたという事実は決して嘘ではない。
「ピピピッ。宇宙に電波を送信。聞こえていますか? ナナは、がんばりますよ」
突然の独り言に戸惑うプロデューサーを置いて、菜々は歩きだした。
何故フリーザが彼女の目の前に現れることができたのか。結局菜々にはわからなかった。
だが、きっとそれは、7つの珠が起こした奇跡なのだろう。
菜々は、そんなことを思いながら、広く澄み渡る大空を見上げた。
――END――
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