6: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/04/13(月) 18:24:57.09 ID:kueoVPxH0
師匠は夜になると、星空の鑑賞をする。
いい加減な性格の師匠だけれど、これだけは毎晩の日課になっていて、500年間1度も欠かしたことはないという。
魔女『流れ星を見たことはあるか?』
以前、師匠がそう言ったことがあった。
いいえ、見たことはありません。私がそう答えると、師匠は「そうか」と一言呟いた。
師匠は勿論ありますよね――そう言うと師匠はふっと笑みをもらした。
魔女『あぁ、何十回も見てきた。だが――』
師匠は星空を見上げる。光に照らされた師匠の顔は、その時何だか寂しく見えた。
魔女『流れるのはいつも一瞬。願い事を言う前に消えてしまう――私はまだ、願いを聞き届けてくれる流れ星に出会ったことがない』
何だか可笑しな発言に思えて、私はすぐ返した。
師匠程の力があれば流れ星にお願いしなくても、自分で叶えられるじゃありませんか、と。
だけど師匠は首を横に振った。
魔女『自分じゃ叶えられないからこそ、願い事になるんだよ』
願い事――師匠でも叶えられない願い…私には想像がつかなかった。
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