過去ログ - アストルフォ「ボクがジークを幸せにするんだ!」
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4: ◆BAKEWEHPok[saga]
2015/04/14(火) 00:06:25.46 ID:RAbBuj+Vo
「嫌だった?」
「そういう話をしていない。何故そうしたかがわからないと言っている」
「ボクがマスターを大好きだからしたんだ。本当にわからない?」
「愛情表現とぐらいは俺にだってわかる。何故今……」
「今だからだよ! ボクがジークとキスしたいからするに決まってるでしょ!」

完全に自分の都合であった。
わかったのは親愛を示しているということだけで、それが何故今したのかはわからない。
いやある意味わかっているのかもしれない。
ライダーの理性は蒸発していていつでもどこでも刹那的なのだ。
ジークにはスイッチがわからなかっただけで、ライダーにはすべき場面だったのだろう。
服装と呼び方を変えた辺りでライダーの中でそういう事になっているのだ。

「ね。キスしようしようそうしよう!」
「……こういうものは一度すれば伝わるものでは?」
「そんなにボクが嫌なの!」
「そういうわけではないのだが……」
「じゃあジークからキスしてよ!」

ズボッとなにやら落とし穴にでもハマったかのような感覚。
ライダーが目を瞑って唇を向け、ジークを待ち構えた。
多分、いや絶対。
ここで身を引いたらライダーが怒る泣く喚く。
そのどれもが起きうるだろう未来が待っている。
どこぞの軽快小説のごとく、暴力に訴えるようなライダーではないにしろ激情家なのは言うまでもない。

ただそれと同時に、先ほどの初めて触れた唇の感覚が未だに残っているのも感じた。
朴念仁どころではない、恋愛という単語に含まれた意味をほとんど理解できていないジークにとって初めてのものだ。
そして未知の体験は不快ではなかった。
またライダーがしたいというのならばあえて拒否する理由はなかった。
ライダーの言う大好きと同じものであるかはわからないが、ジークもライダーを好きだと思っているからだ。

「……わかった」

ジークがライダーの両肩に手を置くと、びくりと跳ねた。
指先から微かな怯えとそれ以上に喜色の気配が伝わってくる。
ジークは無造作にライダーへと唇を重ねた。

「……ん、んんっ……ジーク……」

うっすらと触れ合うような、でも長い時間をかけてのキス。
二人の息遣いが部屋に小さく響く。呼吸の度お互いの口内へと消えていく。
まだ残っているワインの渋みやアルコールの吐息をお互いに交換する。
ちゅっとライダーが音を立て、ジークは応えるように唇を強く押し付ける。
しばらくそのままでいて二人は離れた。

「……わっはー! ホントにしてくれた! 凄い凄い凄く嬉しい!
 唇からぐわーってきて胸の中までいっぱいになりそうだ! ジークありがとう! 大好き!」

全身いっぱいで喜んでいるといった様子でジークを抱きしめる。
しばらく頬ずりを繰り返したり、ぎゅーっとしたりと、ひとしきりジークを堪能した所で、はたっと顔をあげる。

「ジークはどうだった? ボクだけ舞い上がったりしてない?」

少し不安げな様子で、抱擁してる間にぴょんぴょこ跳ねていた三つ編みも心なしかしょぼんとしているように見えた。

「……いや、俺も嬉しかった。そのなんと言えばいいか……多分、心地よかったと思う」

つっかえつつもぎこちなく想いを伝える。
好意。信頼。友情。思慕。敬愛。恋愛。愛情。情愛。
そのうちのどれかなのか、それともどれでもないのか。
知識だけでは得れるはずもない織り交ぜた感情はキスをすることで実感ができた。

(ああ……俺はライダーが好きなのだろうな)

素直にそう思えた。


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