過去ログ - 恭子「宮永を監禁してもうた……」
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180:名無しNIPPER[saga]
2015/06/21(日) 18:59:11.05 ID:5ACXQpKo0
夕方の朱色の空が視界の端で輝いている。
しかしそれさえ目に入っていないのかも知れない。
恭子の目に映っているのは咲の姿だけ。
この部屋で共に過ごした残影が、部屋のあちこちに映し出される。
床に食事を広げ、二人楽しく話しながら食べたこと。
ベッドに寄りかかって、TVを見て笑う咲。
眠れない、と話し相手を求めてきたこともあった。
沢山の思い出が部屋中に込められている。
だから、ここが幸せ。
ここから動くと咲の幻が消えてしまいそうで・・・
今の自分を見たら、咲は何と言うだろうか。
恭子(そうやな、宮永ならきっと……)
咲「何してるんですか。死にそうになってますね」
ああ、多分そんな風に言ってきそうだ。
とうに夕日の沈んだ暗い部屋に、
浮かびあがる想い人の残影。
その姿がゆっくりと近づいてくる。
ベッドの端に腰を下ろした咲は、
いつもは恭子がしていたように優しく髪を撫でてきた。
咲「そんな元気のない末原さん、はじめて見たかも」
言いながら、何度もその手が髪を梳く。
恭子(そうやったか?いつもこんなんやで)
言いかけた口が、動かない。
乾いた喉から声が出ない・・・
かすれた空気だけが僅かな音として漏れ出した。
咲「そんな末原さん、魅力ないですよ」
少し切なげに見下ろされた瞳から雫が溢れ、
恭子の頬に落ちてきた。
温かい・・・温かいな・・・
波紋のように恭子の心に浸透していく。
落ちてきた雫が頬を流れる感触。
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