過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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57: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/05/16(土) 21:10:31.41 ID:zxkgxLyK0

 後ろから掛けられた声に山城は振り返らずに返事をする。
  
「あなた、何かあるとすぐここにきて海を見てるのだもの。すぐわかったわ」
「海を見ていると……色々なことを思うんです」
 
 不安な心も、何もかもが海を見ていると洗い流してくれた。
 海の中には母がいる、とはよく言ったものだ。
 艦娘である山城たちには母という存在はいない。 
 だが、母とは、このようにすべてを受け入れてくれる存在なのだろう、と山城は思う。
 何か嫌なことがあったり、思うところがあるとき、山城はこの海を眺める。
 この海で自分の弱さを全部垂れ流して、扶桑たちと美味しいご飯でも食べて。
 そうすれば次の日にはケロッと忘れることができる。
 今日も、また頑張れる。そう思えた。

 ――今日だけは、無理だ。

 どんなに気勢を張っても、弱さを曝け出しても。
 この後の食事が美味しいわけがない、次の日などこない。
 「明日」という未来は訪れない。
 
「姉さま、私は……」
「山城」

 山城の言葉を遮って、力強く妹の名を呼ぶ。
 その眼は、決意で固まっていた。

「私は、出撃するわ」
「え……?」

 その声は、優しいいつもの扶桑のもの。
 しかし、その声は、覚悟を決めた強い声だった。



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