過去ログ - Love A-RISE
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10:野良猫 ◆oiBB.BEDMs[saga]
2015/05/06(水) 10:45:02.12 ID:JvRyHgVUO
「それじゃあ、始める前に紹介しておくね」

 告げてからつばさは、あんじゅの事を他の友人たちへと話した。
 あまり先入観を抱かせても良くないので、歌がとても上手いことやお嬢様であること、それ以外にも普段つばさが感じた事をかいつまんで話す。

 友人たちは口々に可愛いと言って、想像上のお嬢様にありそうなことを尋ねた。

「やっぱメイドさんとかいるの?」

「専属の執事さんとかもいそうだよね〜」

「ねぇ? セバスチャン?」

 あはは、と少女たちの笑い声が部屋に響き、あんじゅはまるで異世界にでも迷い込んだような顔で、無限に広がっていく彼女たちの会話にただただ圧倒されていた。

「それじゃあ、そろそろ始めようかしら」

 このままではただの談笑会で終わってしまうと思い、つばさは話を切って、照明を落とした。

「お〜暗〜い」

「ちょっ、へんなトコ触んなし!」

「よいではないか〜よいではないか〜」

 どうやら、暗闇の方がテンションが上がるらしく、つばさは無言のまま、リモコンの再生ボタンを押した。
 映像が始まると、流石の彼女たちも静かになり、ようやく談笑会は観賞会の様相へと変わった。

 およそ30分ある紹介映像の前半は学院の様々な設備の紹介からはじまり、レッスンの様子などが紹介されていく。
 一般教養科の彼女たちは、自分たちとは縁のない設備の数々に感心した様子で騒ぎ立てていた。

 そして、いよいよ後半のパートへと進み、つばさを中心とした数名によるダンスパートが開始された。

「お? あんじゅも出てるじゃんか〜」

「つばさっち絶賛の歌声が早くも聞けようとは……」

「衣装可愛い〜」

 画面に登場したのは3人。
 中央にはつばさ、向かって左には隠しきれない緊張を面<おもて>に張り付けたあんじゅ。
 そして、向かって右には石膏でかためられた仮面のような表情を浮かべた統堂英里奈の姿もあった。

 一年生にして候補生として選ばれた二人。そして、候補生ではないが、同じ一年生としては高い歌唱力をもつあんじゅを、つばさは直談判してメンバーへと加えさせた。
 最初こそ渋られたが、つばさの提案で緊張させないように録ったあんじゅのデモテープを聞かせた瞬間、手のひらを返したように話は進んでいった。

「知らないの? 最近のカラオケって自分のディスク作れるのよ?」

 突然、メンバーに選ばれた事をあんじゅに、つばさはしてやったりの顔で告げた。
 ポカンとしているあんじゅが程なくして状況を理解すると、泣きそうな顔で抗議の声を上げた。

「いいじゃない、一緒に頑張ろうよ、ね?」

 しばらくの間、問答は続いたものの、やがて観念したかのように承諾した。


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