25:名無しNIPPER[saga]
2015/05/11(月) 19:22:43.09 ID:sr/n3AUZ0
『おおかみさん』は男が見えなくなると、動きを止めた。
私もそれに倣うと、『おおかみさん』は呆れた口調で言った。
「もういい、かまない」
『おおかみさん』は嘘をつく悪い狼ではない。
私が離れると、『おおかみさん』は姿勢を正して(つまり4足で立って)
ぷいっと後ろを振り向いた。
いじけてしまったようだ、まあ一か月も張っていたのだから仕方がない。
「ごめんね、『おおかみさん』」
「いいよ、もう。
だいたい『宇佐義』がずっと前から狙ってたし、興味本位だっただけだから」
すごい興味本位ね、と突っ込むのは藪蛇かしら。
しばらくして、ゆっくりと『おおかみさん』は言った。
「でも、あいつ、きっと自殺するよ。かまなかったら」
気にしていたことを突かれて、一瞬息が詰まった。
「今回のこともあるけど、あいつ、いつもあんなことしているんだろ
公園で、一人で泣くとか、そーとーおいつめられているよ」
「…うん」
「メロスは間に合ったけど、あんたはどうなるんだろうね、『宇佐義』」
『おおかみさん』はそう言って、草むらに向かって歩き始めた
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