17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:41:25.28 ID:PyKvkZDTo
優美子や姫菜にはこんなこと相談なんかできない。こんなの、あたしには似合わないし。こんな乙女みたいなことバカにされちゃうかもしれない。
困った私は平塚先生に相談することにした。そこで奉仕部の存在を教えてくれた。
なんでも、生徒の悩み相談を受けて手助けしてくれる部活らしい。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:42:08.93 ID:PyKvkZDTo
初めて話したヒッキーの印象は、それはもう最悪だった。ほんとに。なんなのこの人、と思った。
同じクラスなのに、まさか自分のことを認識してもいなかったなんて。
あたしはずっと前から見てたからよく知ってたけど、まさか名前まで知らなかったなんて。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:43:09.05 ID:PyKvkZDTo
でも、それからのあたしは、少しだけ変わることができた。
クッキーは結局うまく作れなかったけど、元々食べてもらおうとしてたのはヒッキーだし、結果的にあたしから奉仕部へ出した最初の依頼は解決してもらえたってことになるのかな。
あたしが憧れるぐらい、最初からゆきのんは強くてかっこよかったし、ヒッキーは基本的に最悪だったけど、たまに優しかった。
20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:43:58.71 ID:PyKvkZDTo
それから奉仕部でいろんなことがあった。
あたしとゆきのん、あたしとヒッキー、ゆきのんとヒッキー。
三人の距離は近付いたと思ったら離れて、離れたと思ったら近付いて。
21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:44:41.46 ID:PyKvkZDTo
ヒッキーはいろんな依頼に対して、屁理屈みたいなよくわかんないこと言って、わけわかんないこともたくさんやって…。
あたしには真似の出来ない方法で、ヒッキー自身が傷だらけになりながら問題を解決してた。
そんなヒッキーを見るのはとても辛かった。けどあたしには何もできなかった。見ているだけだった。
22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:45:40.15 ID:PyKvkZDTo
そんな奉仕部がなくなっちゃうかもしれない。そう思ったのは生徒会長選挙の時。
今度こそあたしもちゃんとやらなきゃと思った。
ゆきのんが生徒会長になったら奉仕部はきっとなくなる。
23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:46:25.91 ID:PyKvkZDTo
ヒッキーが守ってくれたのは嬉しかった。
でもあたしはまた、何もできなかった。
そしてそれがきっかけで、奉仕部はあたしにとって安心できる場所じゃなくなってしまった。
24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:47:15.42 ID:PyKvkZDTo
もうどうしようもなくなるぐらい奉仕部の空気が冷たくなった頃、ヒッキーが来て一つの依頼をした。
本物が欲しい。
それはたぶん、初めてのヒッキーの本当の願いだった。
25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:48:03.13 ID:PyKvkZDTo
でも、あたしもゆきのんとあのままは嫌だった。
本物とか偽者とかよくわかんなかったけど、ゆきのんとまた前みたいに戻りたいって気持ちをぶつけた。
ヒッキーの気持ちは、あたしにも、ゆきのんにもちゃんと届いた。
26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:49:17.08 ID:PyKvkZDTo
その後ヒッキーから湯飲みのお礼ってことで、あたしとゆきのんがクリスマスプレゼントを貰った後、ゆきのんとこんな話をした。
「シュシュかー、ヒッキーも可愛いの選んでくれたもんだねー」
「そうね、仕方がないから大事にしてあげるわ」
27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 07:50:49.74 ID:PyKvkZDTo
「彼が……比企谷君が、自分で考えて選んでくれた、というのが重要なのだと思うわ……」
「そっか……そうだね」
ゆきのんはとても穏やかで、嬉しそうな顔をしてた。
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