過去ログ - 澪「グレイッシュ・ガール」
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14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:07:38.36 ID:+HxJNIVIo
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【翌日/悩みと距離】


……今朝から、唯がちょっと暗い。
「唯のことならなんでもわかる」とまではまだ言えない私だけど、それでもずっと唯のことを見てきた身だし、これくらいはわかる。
一緒に朝ごはんを食べた時点から暗かった。昼間は生憎会えなかったからわからないけど、部活の時間になっても唯の調子は変わっていなかった。
あくまでちょっと暗いという程度で、いつものように元気な顔も見せるんだけど、そろそろ皆も気づいてるんじゃないかな。
唯はわかりやすいやつだから。
……ただ、特に私と話す時に元気が無いような気がするのは、さすがに気のせいであって欲しい……


『唯と何かあったのか?』

たった今届いた、晶からのメールだ。

『なんか唯ちゃん元気ないね。何か知らない?』

10分前に届いた、ムギからのメールだ。

『澪、なんか唯に避けられてね?』

15分前に届いた、律からのメールだ……
どうやら誰から見ても気のせいじゃないらしい。でも、どのメールにも何も返信できずにいた。何と返せばいいかわからずにいた。
私、何かしたかな……と考えるも、すぐに逆の発想に行き着く。
ずっと唯に何もしなかったのが、この結果なんじゃないかと。例の件を、悩むばかりで口にできなかった結果がこれなんじゃないかと。

つまり、唯に愛想を尽かされたのではないか、と。

ずっと一途に愛を囁いてくれた唯の気持ちを疑うという意味じゃない。
私が、愛想を尽かされても仕方ないくらいどうしようもなく不甲斐ない臆病者だということを、今、ようやく自覚したということ。

自覚し、ここまで追い詰められて、ようやく私は動いた。
悩む暇も怯える間もなかった。メールの返信も忘れ、今が部活中だということも頭から抜け落ちて、ただ焦り丸出しで唯に近寄った。


澪「唯っ! あの、あ、後で話があるんだけど!」

唯「……澪ちゃん。あ、あのね、私も後で話があるから……メールするね、場所とか」

澪「あ、う、うん……」

唯「練習、しよ?」

澪「……うん」


あっさりと全てを先送りにされ、その場には私のやり場のない焦りと、周囲の人達の戸惑いの視線だけが残った。
……今まで唯とのことを先送りにし続けてきた私が、それに対してどうこう言えるはずもなく。

ただ、隣でギターを奏でる唯が、とても遠くにいるような気がしてしょうがなかった。




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