過去ログ - 澪「グレイッシュ・ガール」
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17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:10:45.16 ID:+HxJNIVIo

あああああ、そうだ、唯に長時間愚痴電話してたっけ。
「お付き合いは成人してから」「普通友達に相談くらいするだろ」なんて自分を棚に上げて偉そうなことも言っちゃったなあ。
でも、それにはちゃんと理由があるから言い訳させてほしい。
受験前の大事な時期だったっていうのがひとつと、あと……


澪「あのさ、唯。私が唯と付き合ってることを皆に明かしたくない理由だけど。勿論恥ずかしいってのもあるけど、皆で一緒にいられる時間も大事にしたかったからなんだ」

唯「……えーっと、つまり?」

澪「律……はわからないけど、ムギとかは私達が付き合ってるって知ったら変に気を利かせそうじゃないか?」

唯「ことあるごとに二人っきりにしてくれたりとか?」

澪「そんな感じ。そんな風に気を遣わせるのが私は嫌だったし、あとは……唯が律やムギと話す時間を奪っちゃうのも嫌だった」

唯「……よくわかんない。澪ちゃん、私に告白したのに私を独り占めするのが嫌なの?」

澪「嫌ってわけじゃない……けど、皆に好かれてこその唯だって思ってるから」


前も言ったけど、異様なほど皆に好かれる唯に、私も惹かれた。
だから、告白したからってそれを全部奪ってしまうのは何か違う気がしたんだ。


唯「……違うよ、澪ちゃん。私は澪ちゃんになら全部奪われたって構わないよ。だから……だから逆に、私からも全部を見せるべきだって、思って……」

澪「あ、ありがとう……っていうかそういえばそういう話だったな、元々」


話の途中で一周して先の唯の隠し事の話に戻ってきてしまった。狙ったわけじゃないけど。


澪「じゃあこっちは簡潔に済ませるけど、要はそうやって皆の時間を大事にしたかった私と逆に、律は彼氏を作って外で会おうとしたりしてるように見えたから、なんか、こう、考え方の違いが嫌だった」

唯「だから澪ちゃんはプンプンしてた、と」

澪「そういうこと。でもそれが全部私の勘違いで、挙句の果てに律は私に言ってくれたんだ。「これからは澪に隠し事はしない、何でも言う」って。彼氏が出来たら真っ先に報告するって」

唯「……ああ〜…さすがに馬鹿な私でもわかるよ、そうやって誠意を見せてくれてるりっちゃんに対して、その時の澪ちゃんは既に隠し事一周年だもんね、気まずいよね」

澪「結局その場は憎まれ口を叩いて話題を逸らすことしか出来なかったよ……」

唯「………あっ。ねえ澪ちゃん、私気づいたんだけどさ……」

澪「ん?」

唯「……あの、ね?「皆との時間を大切にしたいから」ってことで澪ちゃんは隠し事をしてるけど、えと、その時にそこまで言ってくれるようなりっちゃんなら隠し事はされたくないんじゃないかな……」

澪「………」

唯「その、私達のことがバレた時、怒るんじゃないかな……いつか明かしたいって澪ちゃんは言うけど……」

澪「………」

唯「………」

澪「…………」

唯「…………」


その通りだ。
その通りすぎて、私は言葉を失った。
あの時明かすべきだったのか。最初から全部隠さないでおくべきだったのか。……だなんて、一歩引いた目で状況を見る余裕すらなかった。
ただただ消えたかった。
気づかぬうちに、ずっと前から大きな矛盾を抱え、大きな過ちを犯していたんだ、私は。
むしろなんで今まで気づかなかったんだろう。
今から謝って、律は許してくれるだろうか。
きっと無理だ。
あの時が最後のチャンスだったんだ。
なのに私はあろうことか憎まれ口まで叩いてしまった。
救われない。

もう無理だ。


唯「み、澪ちゃん! 今から謝りに行こう! 私も一緒に謝るから! 全部私のせいにしていいから!」


何かを察したのか、唯が全力で私の手を引き、カラオケボックスを飛び出した。




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