過去ログ - 澪「グレイッシュ・ガール」
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21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:14:51.00 ID:+HxJNIVIo


身悶える記憶なので、唯の口を後ろから手で塞ぎ、会話を止める。
そのまま唯を引きずって、


澪「そ、そういうわけで。今日はありがとう、ムギ。また明日……」

紬「あぁん、もっと聞かせてほしいのにぃ」

澪「で、でも……」

紬「ふふっ、冗談よ。これからもいくらでも時間はあるんだし、のんびり聞かせてもらうから」


さりげないその言葉は、私達が付き合っていても等しく友達であるということを表していて。
根掘り葉掘り聞かれるのは恥ずかしいけど、私にとってその言葉はかけがえのないものであり。


澪「……ありがとう、本当に」

唯「むーむーっ」


結局、律の時と同じように何度もお礼を告げ、部屋を後にすることとなった。





唯「二人ともぜんぜん気にしてなかったねぇ」

澪「そうだな……ありがたいことだよ、本当に」


寮の廊下を歩きながら、唯が口を開く。
厳密には律とムギでちょっとだけ認識は違うものの、私達が隠し事をしてたことを責めなかったという点では一緒だ。
二人とも、とても人間が出来ていると思う。私もそうありたいと思う。
……そうありたいと思い、憧れるということは、私はその域に達していない小さな人間ということだ。
今回の私の判断はきっと間違っていた。いや、恥ずかしいから、という理由が含まれる時点でこれは判断なんて高尚なものではなく、ただのワガママだったんだ。
ワガママというものは相手が受け入れてくれるか、あるいはそもそも自分の内に留めておくかの二つしか良い解決法はない。
今回は前者だったけど、後者も選べるようにならないと、きっと私はいつか唯を傷つける。
後者を選べるようになること、それが大人になるということなのかもしれない。

と、思い知ることが多かった今回の一件だけど、純粋に学んだこともある。
ひとつは、私はやっぱり全然ダメなやつだということ。
そして、ダメなやつだからこそ……


澪「ねぇ、唯――」
唯「澪ちゃん、あの――」


不意に発したはずの声が被った。


澪「あっ、えっと、何?」

唯「あ、私からでいい?」

澪「い、嫌なら私から言うけど」

唯「ううん、私からがいい」

澪「そ、そっか」

唯「……あのね澪ちゃん、私達、もっと話し合ったほうがいいんじゃないかなって、思った」


ちょっと驚いた後、頷いた。
驚いたのはもちろん、同じことを考えていたからだ。

唯「私、澪ちゃんに甘えてたよ。何も出来ない臆病な私を、澪ちゃんがちゃんとわかってくれることに甘えてた」

澪「その言葉はそのまま私も返すよ。甘えてたし、唯に私と同じようなところがあるのは嬉しかった。ちょっと意外だったけど」

唯「……あのね、多分だけどね、そのあたりは私の『隠し事』も影響してると思うんだ。だから、そのあたりも含めて、いろいろ話し合って決めたほうがいい、と思う……」

澪「……隠し事、か」


そうだ、そもそもそういう話だった。
途中で私の大きな間違いのほうに話がシフトしていったけど、そもそもは唯が後ろめたいっていう話だったはずだ。
……後ろめたいから、嫌いになられても、別れるって言われても仕方ない、って話だったはずだ。
ということは……



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