42:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:41:08.66 ID:+HxJNIVIo
見た限り、梓が謝られることを望んでいたとは思えなかったけれど。憂ちゃんも決断を急ぎたかっただけのはずだけれど。
それでもお互いに謝り合う結果になってしまった。そして、私はその結果を招いた一人なんだ。もっと二人に向き合わないといけない。
憂「……梓ちゃんは多分、お姉ちゃんにはっきりダメって言われたらすんなり引き下がったんじゃないかなって思うんです」
澪「……うん、そうかもしれないな」
私は先輩と後輩として接することが多かったから、憂ちゃんの見てきた梓とはイメージが違うかもしれない。
でも、大切な人の忠告を無視し、悩み続ける恋人をも無視して自分の望みを叶えたがるタイプではない。
きっと梓は、今日ダメと言われれば諦めたし、それ以降でも憂ちゃんが嫌と言うなら行かなかっただろう。
それを「その程度の熱意」だなんて言うつもりはない。「その程度の熱意」なら自身の退路は断たないし、憂ちゃんをここまで悩ませもしない。
自身の望みと、憂ちゃんへの気遣い。両方を前面に押し出しただけなのだと思う。
澪「……梓は、偉いな」
憂「……はい。私のことを気にかけながらも、自分の意思で、やりたいと思ったことに真っ直ぐに進んでいます。私もそうありたかった……」
……これは私の勝手な想像だから本人には言わないけど、憂ちゃんの今の状態は、やはりどちらにも動けない状態だと思う。
梓と一緒に居たいけど、この星を離れたいわけではない。つまり、どちらかを切り捨てるという前提だとどちらも選ぶことができない。
梓のやりたいことを邪魔したくはないけど、梓のやりたいこと自体にはあまり賛同できない。でも祖星を見たいという気持ちは理解しているし、自分もそういう気持ちはある。
梓の足を引っ張りたくはないけど、それでも梓のようにはなれない。かといって梓の考えを変える、なんてのも望んではいない。
……参ったな、まるで解決策が見えないぞ?
憂「……お父さんとお母さん、夕方には戻るそうです」
澪「そっか。じゃあ……そうだな、普通にだらだらと喋って待ってていいかな? 梓と唯も一緒にさ」
憂「……はい。じゃあまたリビングに行きましょうか。お茶とお菓子、用意しますね」
澪「手伝うよ」
憂「いえ、これくらいはさせてください。相談に乗ってもらってるんですから……」
◇
――その後の4人での会話の中で、私だけが知らなかった事実がまた少し出てきた。
特に大きいのは、私が焦って告白する切っ掛けのひとつでもあった、唯が梓にべったりしてた(ように私には見えた)件について、だ。
何でも当時から平沢姉妹は梓が祖星を同じとする人じゃないかと疑っていたらしい。よって部活では唯が、教室では憂ちゃんがよく近くにいたというわけだ。
憂「なんとなく、でしたけどね、なんとなく他の子と違う感じがして」
梓「私は全然わからなかったなぁ……なんとなく、唯先輩や憂の近くは、その、安心する感じはありましたけど……」
唯「えへへ、かわいいこと言ってくれるねぇ仔猫ちゃん」
梓「む、むぅ……」
まあ見ての通り、疑っていたと言っても相手があんな出会い方をした梓なので警戒していたというわけではなく、むしろ宇宙人だとわかってもお互い地球生まれなので何も変わらず、最終的にはやはり普通に人間として仲良くなったらしい。
ちなみにその件が解決してからもずっと憂ちゃんは梓の近くにいてくれて、意識してしまった梓と意識された憂ちゃんの距離は恋愛的な意味で近づくことになり、今に至るとのこと。
密かにミステリーサークルを使った宇宙語の知識も三人で共有しており、それがたまたま今回活用できたということになる。
唯「あっ、そういえばあずにゃん、ムギちゃん家の別荘のあれは不法侵入でしょ。そんないけない子に育てた覚えはありません!」
梓「育てられてないですけどあれはちゃんと許可取ってます」
唯「あ、そうなの。ちぇっ、ごめんね」
梓「「ちぇっ」って何ですか……ちゃんと菫に――あ、えっと、ムギ先輩の家に一緒に住んでるお手伝いの家系の子に許可を取りました」
澪「うん、その子のことはムギから聞いたことあるよ。ドラムの子だよな」
梓「はい。憂と純はスミーレって呼んでますね。良い子ですよ」
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