過去ログ - 彼の幸せとそのかたち
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26: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/23(土) 20:11:26.57 ID:WT24WuKIo

「まあ子供ができればお前さんほどだったかもしれないな」
「やはり身体が?」
「ちょっとあいつはひ弱すぎた。体力が足りなかったんだな」

 もう誰も残っていない酒場の暗がりに、かすかに何かが聞こえた気がした。
 鼻歌のような含み笑いのような。
 ふと思い立って僕は訊ねる。

「あなたは幸せでしたか?」

 だしぬけの質問に、彼は面食らったようだった。

「幸せってお前……」

 当り前だろの形に口を開いて、そこで彼はぼんやりと虚空に視線をやった。

「どうだろうな」



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