5:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 21:44:09.20 ID:Z0Jxy1SDO
「みくもヒヤッとしたにゃ……」
「ごめんなさい!」
「それは封印したほうがいいかも。裕子チャンには、人を笑顔にするサイキックが一番だよっ」
6:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 21:45:36.80 ID:Z0Jxy1SDO
それからみくは休憩所に立ち寄り、自動販売機でアイドルやプロデューサーの間で同じみの、赤色の缶の飲み物を買った。
『飲むと一日頑張れる』と評判であった。みくも体の底から、燃えるような力が沸き上がるのを感じた。その調子のままレッスン場へ向かおうと廊下に目をやると、多田李衣菜が通った。
みくと李衣菜は自身の目指すアイドルや音楽のスタイルの違いから、たびたび衝突が起こっていた。共に仕事をするとき以外には、ふとした拍子に口喧嘩へと発展してしまう。
7:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 21:48:11.23 ID:Z0Jxy1SDO
「李衣菜ちゃんおはようにゃ」
「あっ、みくおはよう」
普段は事務的な挨拶しかしていない二人だがこの日は珍しく、みくは率先して声をかけた。裕子から元気をもらったからだろうか。
8:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 21:50:57.23 ID:Z0Jxy1SDO
「これがロックなの?みくには全然わかんない。
みくはポップなやつしか聴かないの」
「ええー!?みくも聴いてみなよーこれとか超ロックじゃん?」
9:名無しNIPPER
2015/05/24(日) 21:53:02.03 ID:Z0Jxy1SDO
「それに李衣菜チャン、なんでもロックって言ってごまかしてない?
ロックってなんなのさ」
自分の思うロックを突き進むので普段は考えたこともないロックについての詳細を問われた焦りからか、練習前だというのに、李衣菜の額に一筋の汗が浮かぶ。
「い、いや、ロックと思うかは人それぞれだからなー」
10:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 21:55:53.29 ID:Z0Jxy1SDO
「ふーん……でもみくの中では猫チャンが一番かな
猫チャンはかわいいんだよー何度見ても触っても飽きないにゃ
いつかは猫チャンの時代が来るに違いないよ!」
「いやいや!時代はネコよりロックだ!」
11:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 21:57:33.83 ID:Z0Jxy1SDO
李衣菜が見たのは、みくは棟方愛海のような怪しげな手の動きをしていたことであった。
自分のキュートな猫アイドルとしての方向性を否定されたみくは、李衣菜の言葉に腹を立ててしまった。
ロックなんかじゃない、時代はかわいい猫チャンアイドルだという思いを訴えたかった。
12:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 21:58:10.95 ID:Z0Jxy1SDO
あのときのみくは、今までにない体験に鳥肌、いや猫肌が立ちそうになった。
だが裕子のあの自信、猫アイドルとしての道を突き通す自分と似ているような気がした。その裕子に、みくは自分を重ねようとしていた。
―もしかしたら、裕子チャンみたいなことができるのかも―
13:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 22:00:04.14 ID:Z0Jxy1SDO
そして感情を言葉にしてぶつけた。楽器を弾くより、エアギターがお似合いだと。
瞬く間、指先に重みを感じた。
やがて弱った病人のようにおもむろに李衣菜の腕が動き、ギターを弾くような体勢をとった。はたから見たらまさに、エアギターの練習をしている李衣菜である。
14:名無しNIPPER[sage]
2015/05/24(日) 22:04:17.54 ID:Z0Jxy1SDO
「にゃー!ぎゅいーん!」
李衣菜のほっそりとしなやかな腕が、激しいアップダウンのストロークを繰り返していた。
「李衣菜チャン、そんなのはロックじゃないなー
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