過去ログ - 安部菜々、魔法少女になる。〜PROJECT G4〜
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12: ◆2YxvakPABs[saga sage]
2015/05/26(火) 22:20:41.39 ID:6BW4cku00
「う、うぅ……あんまりです……あァァァァんまりですゥゥゥゥゥウウウッッ!!!!!」

 魂を抜かれたという事実を認めた菜々は急に泣き出してしまった。
 わんわんと泣く菜々。千佳は菜々の頭を優しく撫でていた。

 そして1分後。

「……ふぅ、泣いたらすっきりしました。よくよく考えると、不老不死の時点で死ぬとか人外とかあったもんじゃなかったです」

 流石、リアル永遠の17歳は違う。
 泣くことで冷静になり気分を落ち着かせた菜々は、普通にプロデューサーからシンデレラジェムを受け取った。
 なってしまったものは仕方ない。菜々は現状況を受け入れた。

 他の魔法少女たちは、この事実をどう受け止めたのかが気になった菜々だが、プロデューサーに尋ねるのは止めておく。必ずしも、事実を受け入れた者ばかりじゃないと察したからだ。

「ちなみに、千佳ちゃんはどんな願い事で魔法少女になったんですか?」

「あたしの願い事は、『魔法少女になりたい』だったよ」

「へぇ……なるほどなるほど……って、えぇ!」

 千佳の話を聞いて複雑な気持ちになる。
 魔法少女になるための契約で、魔法少女になりたいと願う。
 なんというか、契約自体が願いのような。結局魔法少女になるのだから、もっと他の願い事にすればよかったのに、と思う。

 だが、念願魔法少女になったことに喜びを感じている満面の笑みの千佳を見たら、本人が満足しているならいいか、と思えた。

「……そういえば、プロデューサーさん。魔法少女になる目的はなんなんですか?」

 ふと、菜々は気付く。菜々の中の魔法少女といえば、近所のいざこざや学校での事件を魔法で解決したり、ちょっとしたイタズラに使ったりと、平凡なイメージしかない。
 そんなことのために、色んなアイドルに声をかけているとは思えないのだ。

「はい。この世に呪いを撒き散らす、魔女を退治して欲しいのです」

「魔女?」

 菜々の脳内に、グツグツと煮え渡る鍋をかき混ぜているシワシワのお婆ちゃんが浮かぶ。
 が、たぶんそんなのではないだろうと、菜々は自分の考えを否定するように首を振り、脳内のイメージをかき消した。

 退治。その言葉から連想して、魔女はきっと化物のような造形なのだろうと菜々は予想する。

(ということは、またバトルですかね……)

 軽くため息が出た。
 それと同時に、隣にいる千佳も闘いに出ていると思うと、なんとも言えない気持ちになった。
 ――こんな幼い子供まで。
 自分が魔法少女になった以上、この子を守らねば。そんな使命感が菜々に湧いてくる。



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