過去ログ - 艦隊これくしょん 〜艦これ〜 Bright:金剛
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◆li7/Wegg1c
[saga]
2015/05/30(土) 14:50:35.93 ID:8CTu9WN70
如月達はその小柄な身体に見合わぬ力で金剛達を引っ張り、鎮守府を回ってゆく。
金剛達は建物の壁を見つめた。よく見るとあちらこちらの壁や扉に改修したような痕跡が見られた。漆喰が塗り直された跡が見える。
さらに、チラリと見えた一部の部屋からは黒板が確認できる。その部屋の中では小さな少女達が勉学に励んでいた。
「横須賀の鎮守府は、以前使われてた学校を改修して作ったの。もっとも、設備は充実してるし、それなりに綺麗にされてるんだけどね。ちょっと古めかしいけど、我慢してね」
「ふにゃ〜、どこもかしこも厳しいお財布事情なのです! 分かってあげてほしいのです〜!」
睦月がポケットから財布を取り出し、「空っぽだよ」という仕草を取った。ユーモアあふれる彼女の動作に金剛達は思わず吹き出してしまった。
やがて、如月達は執務室のある本棟を出て、その隣に建てられた工場のような建物へと金剛達を案内する。
「こちらが横須賀鎮守府の工廠です。ちょっと小さいけど、設備は万全ですよ」
小さめの体育館ほどの大きさの工廠の中には、軍艦の形状をした数多くの艤装が並んでいた。空母や巡洋艦、駆逐艦など、その種類は多岐に渡る。
その中で、小さな人の形をした生物が懸命に動き回り、艤装の調整を行なっていた。あちこちで火花が飛び散り、鉄を打ち付ける音も聞こえる。
艦娘が世界各地で認知された頃、艤装とその周りにいる生命体についても同時に認知された。
艤装およびそれに用いる弾薬等は小さな人間型生命体、通称『妖精』のみしか建造できないことが判明した。更に政治家にとっては不運なことに、その『妖精』達は艦娘にしか従わず、艦娘以外との意思疎通はできないことまで判明したのだ。
よって、人の手で艤装を直接我がものとすることは不可能であった。
さらに艤装とそれに用いる弾薬、艤装の修理に用いる特殊な修復液――艤装をバケツに入れて用いるため、艦娘たちからは通称「バケツ」と呼ばれる――などは、妖精が選ぶ特定の資材でしか作れないことも判明した。
妖精自身が何処からか持ってくることもあったが数は少なく、激しい戦闘にはとても耐えられない。そこで、艦娘達が妖精の指示に従って資材や修復液の原料を探さざるを得なかった。
如月は工廠に設けられた『開発室』にノックをして入る。そこでは、一人の少女がテレビの画面を注視していた。
「夕張さん、失礼しますね」
「おぉ!如月ちゃん、ちょーどイイところに来てくれた!」
ポニーテールの若い少女――如月達よりやや年上に見える――が、涙目で如月の手を取り話し始める。彼女もセーラー服だが、上着の丈はやや短かった。
「聞いて聞いて! 今見てた特撮の最終回なんだけどチョー泣けたのよ! 友情のために自分を犠牲にしてどこかへ去って行くラストなんかもう・・・!」
突然泣きながら、テレビ番組のことを語りだす。金剛と比叡は突然のできごとに言葉を失う。
「
ゆ、夕張さん・・・。新人さんです・・・」
「うぅ・・・、それでね・・・。って、すみませんすみません! 私がこの工廠で修理や装備開発、戦闘時の通信を担当してる夕張です!
腕は確かですので、よろしくお願いします!」
明るい笑顔を見せ、夕張は頭を下げた。
「戦艦の金剛デース! ヨロシクオネガイシマース!」
「同じく、金剛お姉さまの妹分、比叡です!」
夕張に倣い、金剛達も頭を下げた。
「さて、堅苦しい挨拶はこの辺にして・・・」
「始まったのです・・・」
睦月が静かに呟く。
「でね、その主人公がチョーカッコいいのよー! ちょっと短気だけど根は素直で優しくて友達思いでね!!」
夕張は誰が望んだわけでもないのに、勝手にテレビの話を始め出す。
「・・・こうなると止まらないから、そろそろ行こうかしら」
如月は静かに「失礼しました」と言い、三人を誘導して部屋を出た。
夕張は如月達がいなくなったことにも気がつかず、暫くの間自分の世界に浸って喋り続けていた。
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