428:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/13(日) 01:33:27.52 ID:ftiT5yXu0
「恐らく、疲労のほかに提督より貴女を失いたくないという様な理由を聞いた筈です。それは私も同じです。だから提督に進言する事はありません。……ここまで言われて、何故なのですか?」
僕の質問に卯月ちゃんはまさに鬼気迫った表情で僕の顔を見返してきた。
卯月「嫌だもん!もう、もう友達がいなくなるのは嫌だもん!助けたいの!もう目の前で何も出来ないのは嫌なの!」
提督の、いや、仲間たちの気持ちを踏み躙ってでも助けたいと彼女は言う。
そう思うのも仕方ないのかもしれない。彼女は目の前で何も出来ない、友達を失いたくないと言った。
友達というのは『弥生ちゃん』の事だろう。そして目の前というのは恐らく討たれた姿を目撃している。
相当のトラウマになってもおかしくない。だからこそのこの執念なんだろう。
この執念は恐らく彼女の身を滅ぼすまで続く。運がよければ僕の様に生き残るかもしれないが、そんなの奇跡の様な確率だ。実際僕と同じような執念を持った友人達はもう一人もいなくなってしまった。
そんな目に彼女を合わせたくない。合わせるわけにはいかない。でも原因のトラウマを払拭しない限り、彼女に取り憑いた執念は消えることは無いだろう。
だが、卯月ちゃんに至っては執念の原因を取り除くことは可能だ。なぜなら今、弥生ちゃんがいるのだから。
彼女は卯月ちゃんの思う『弥生ちゃん』ではない。だが、弥生ちゃんという存在ではある。卯月ちゃんが彼女を『弥生ちゃん』だと受け入れて貰えばトラウマを払拭できる。
……今やろう。いややるしかない。このまま放っておけばいずれ彼女は身を滅ぼす。そんな結果は見たくない。
心を決め、口を開く。
616Res/599.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。