573:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/14(月) 22:29:12.58 ID:psMtSIwx0
卯月「……もう、いいや……」
重力が海へ引きずり込もうとする中、彼女は心の諦観に溺れるまま、死を願った。
仲間を守れず、裏切り、あまつさえ何も出来ない自分など死んでしまえばいい。
それに……もうなにも失いたくない。
親友も、仲間も、信頼も、自分の僅かに残ったプライドも。
自分が死んでしまえば、失うものはもう、何もない。
卯月「……あ……」
全てを諦めた瞬間、彼女の視界に変化が起こる。
なにもかもが遅く、色褪せて見えた。
近づいて行く海、自分へと狙いを付ける敵、そして照りつける太陽の光さえも、全てが。
そんな世界の中、卯月は下へと堕ちた。
褪せた海は彼女を呑みこみ、鈍く激しい痛み与える。
そんな痛みさえも、ゆっくりと彼女を伝っていくのを感じた。
だが、そんな事はもう、どうでも良かった。それよりももっと先が欲しかった。
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