574:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/14(月) 22:30:12.68 ID:psMtSIwx0
海の浮力が彼女を持ち上げ、灰色の世界へと顔を出させる。
顔を出した視線の先。そこには彼女に砲弾を放とうとする敵の姿があった。
彼女の目に映る砲塔の先は今度は寸分違わず自分へと向いている。
全ての終わり。
それを自覚した瞬間、全ての記憶が走馬灯のように駆け巡った。
自覚しない偽りの記憶、そして自らが刻みつけた本当の記憶。
次々に人の顔が浮かんでいく。
『親』、『学校』の先生、仲間たち、番頭、提督。
そして、弥生。誰よりも大切だった人。
卯月「……ごめんね……」
卯月は記憶に映る弥生に、そう呟く。
記憶の彼女は何も答えない。
しかし、卯月はそれで良かった。無力な自分に声を掛けられる価値もないと思っていた。
独りよがりだと、自分勝手だと解っている。それでも口に出さずには居られなかった。
やがて卯月は全てを受け入れて、目を閉じる。
死を、受け入れる為に。
616Res/599.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。