5: ◆zPnN5fOydI[saga]
2015/06/05(金) 13:17:44.53 ID:wX34OwfC0
朝日の眩しさと共に、朝潮は目を覚ます。そこには、花壇に腰を掛け、横を向いて倒れている自身の姿。軽い頭痛を感じながら体を起こす。午前6時。司令官はまだ、戻ってこない。
深海棲艦との戦争は、最終的に和解に終わった。深海側の提督と今後のことを決め、いくつか条約を結ぶことで、戦争は完結するはずだった。
しかし、深海側の無理な要求により、決定がどんどん先延ばしになっていった。司令官は、朝潮に申し訳ない思いを抱きながら、深海側との話し合いを進めた。
朝潮は疲労した体で呆然と虚空を見つめていた。北上からもらったパンと飲み物には、まだ口を付けていない。
司令官はどうしたのか、なぜ、帰ってこないのか。司令官の身に何かがあったのか。
自分を忘れてしまったという考えもなかったわけではない。しかし、朝潮は即座にそれを否定する。それは、司令官への信頼と共に、司令官への愛情でもあった。
あっという間に日は暮れ、気温は下がる。司令官は、まだ来ない。
2日間入浴することなく、愛する人を待つというのは多感な少女には辛いものであり、そんな自分に、朝潮は涙を流した。
一度感情的になると、腹は減り、喉も乾くものだ。朝潮は北上からもらったパンと飲み物を口にした。量の物足りなさはあったが、高まった気分は落ち着いた。そして再び、司令官に対して思いを寄せる。
そんな朝潮を、北上は陰から見ていた。花壇に腰を掛けて、うつらうつらとした後、横になってしまう。北上はそっと、朝潮に毛布を掛けた。
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