過去ログ - ニセコイSS「アマザケ」
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8:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:09:12.89 ID:kmZ4QHJb0
そう言うと、一条くんは私と春の着物の襟元を掴むと力一杯引き下げた。
元々着崩れていただけでに帯のところまで一気にはだけてしまう。
私も春も、胸元がほとんど露わになってしまった。火照った肌に、冬の空気が冷たくて気持ちいい。
「えへへ、それじゃいちじょうくんも脱いで――んむっ!?

言いかけたその口を、いちじょうくんの唇で塞がれて……。
「ん……む……んうっ……」
「わー……おねえちゃんとしぇんぱい、しゅごい……」
いちじょうくんのくちびる……春が見てる目の前で……舌……まで……。
脳が痺れるような感覚。頭の中身が弾けていく。普段ならきっと血が沸騰したみたいになって、気絶してしまうに違いない。
それなのに、わたしはどんどん自分の意識がクリアになっていくのを感じていた。

「んう……な、んで……わ、たし……」
ぬるりと一条くんの舌が引き抜かれ、しばらくぶりに胸いっぱいに空気を吸い込む。
頭のモヤが晴れるように、周囲の景色が見えてくる。
「そ、そうだ、私千棘ちゃんたちと一緒に甘酒を飲んで……それから……って!」
視線を落とすと胸元はすっかりはだけて、こぼれ落ちていないのが不思議なぐらい。
慌てて着物の合わせを直しながら、一年前のお正月、彼の家で起きた出来事を思い出していた。私ってばまた――。
慌てて顔を上げると、じたばたと暴れる春の上に、一条くんが覆い被さっていた。

自分の時と同じように、舌がねじ込まれるようなキス。
さらに一条くんの右手は春の着物の胸元に、左手はあろうことか着物の裾を割って滑り込み、もぞもぞと怪しく蠢いている。
勢いよく動いていた春の手足は、徐々に抵抗する力を――いや抵抗する気持ちを失っていくように動きを止めて、
むしろ一条くんの身体をがっしりと掴むように彼の着物を握りしめている。

「い、一条くん、ごごご、ごめんね、私たち、その……」
慌てて二人に駆け寄りながら声をかけると、一条くんはその動きを止めて春の唇から口を離して振り向いた。
口元からは涎が細い線になってキラキラ光りながら二人の唇を繋いでいる。
あまりに刺激的な光景に目を背けた先には、焦点の合っていない目でこちらを見つめる春の姿があった。
「お、おねえ……ちゃ……」
呂律の回っていない声で私を呼ぶ春の顔は真っ赤で……でもきっと、春ももうお酒はすっかり抜けてるはずなのに。それなのにあんな――。

「なぁ、小野寺……」
「ひ、ひゃいっ!?」
いつもより低い一条君の声。怪しい目。その視線に捕らわれて、私は身動きができなくなった。
「酒に酔ってるからって、何をしても許されるってわけじゃないよな――? 今年は……俺が……」
いつにない彼の迫力に気圧されて、伸ばされる手からその身を庇うこともできない。

「い、一条く……ああっ!」



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