128:名無しNIPPER[saga]
2015/06/20(土) 21:55:47.68 ID:SeLyu7oDO
(ナナリーが、あんなに早く心を開くとは……)
そしてライもまた、ナナリーへ笑顔を向けていた。銀の髪が風に揺れる。盲目の少女と記憶を失った少年。二人は確かに今、心を通わせている。周囲の風景と相まって、とても幻想的な光景だった。
「…………」
目が離せなかった。どうしてか、たまらなく美しいと思ってしまった。それほどまでに幸せな表情だったのだ。
ナナリーは目が見えない。咲世子も離れた場所にいる。あの笑顔を見たのは、おそらくルルーシュ一人だけだ。
(まったく……)
不思議な奴だと思った。あの表情を表に出せれば、もっと上手く立ち回れるだろうに。いや、心からの笑顔だからこそ美しいのか。まるで鏡を見ている気分だ。ナナリーと接している時の自分もきっと、ああいう顔になっているのだ。
呆れたような息を吐き出して、ルルーシュはバルコニーに向かった。
「あ、お兄様!」
「……ルルーシュ」
足音だけで分かるのだろう。ナナリーがこちらに笑顔を向けてくれる。ライはいつも通りの仏頂面に戻った。
「悪いな、ライ。ナナリーの面倒を見てもらって」
「……いや。面倒を見てもらったのはこちらの方だ」
「そうか」
「じゃあ、ルルーシュも来た事だし、僕はこれで」
ライは立ち上がった。ナナリーが寂しそうな顔になる。ルルーシュがいつもさせている顔だ。理不尽だと自覚はしているが、他人がさせたとなると、怒りが湧いてくる。
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