194:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 09:59:26.60 ID:AcBC3WIDO
ライは俯いた。すれ違う街の人間、笑い声、音楽、映像。そういった周囲の万物が、今はどうしようもなく空虚に感じられる。そしてなにより、そう思う自身の心が一番虚ろで空っぽなのだと、理解させられた。
この少女も、そう思っているのではないか。
「君は何を知っているんだ」
「何……というと?」
「さっき僕に言っただろう。力を持つ者だと」
以前よりライを知っているかのような口振り。あれだけは何があっても聞き逃せ無かった。
「…………」
「教えてくれ。頼む」
懇願だった。
自分が何者なのか、どうしても知らなくてはならない。でなければ、きっと僕は壊れてしまう。
「今はやめておけ」
「何故だ……!」
「今はとても不安定だ。閉じているものを無理やり開けば、自滅する。それはお前自身が一番理解している筈だがな」
「関係ない」
本当だった。どうなっても良かった。知って壊れるなら、そっちの方が良いとさえ思えた。
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