213:名無しNIPPER[saga]
2015/06/28(日) 20:05:48.49 ID:fPL13rnDO
「……ライ?」
後ろからの声。いつもなら何ということもないが、本に気を取られていたせいで注意が逸れていた。驚くより先に体が動く。間合いをとって、相手を──
「あ……」
「……スザク」
枢木スザクが驚いた顔でこちらを見ていた。二人の間、本棚の半ばまで引き出された本が傾き落下。
「おっと……」
スザクが姿勢を低くし、落ちてきた本を難なくキャッチした。鋭い反射と滑らかな脚捌き。
「どうしたんだい? 急に飛びずさって」
「いや……すまない」
こちらの反応は明らかに警戒心が過ぎたものだ。いつも良くしてくれる相手への態度としては、極めて無礼だと思い、ライは謝った。
「君らしくないな。いつもなら、もっと早く気付くはずなのに」
「…………」
無意識のうちに気が立っていたのかもしれない。本を読んだせいか。相変わらず、自身の事については判然としない。
「君はどうした。図書室で勉強か」
話題を切り替えるべく、質問に質問で返した。スザクの持っていた勉強道具一式が視界に入ったから出た、咄嗟の言葉だったのだが、何故か彼は赤面した。
「いや……あの、出席日数が足りなくて、補習を受けなくちゃならないんだ。だから、資料を集めにね」
「……そうか」
スザクは模範的な優等生だ。授業態度は真面目そのものだし、向上心もある。その彼の出席日数が足りなくなる理由。
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