29:名無しNIPPER[saga]
2015/06/14(日) 22:51:36.86 ID:QEdX3JPDO
二日目の朝。ライは自室で目を覚ました。時刻はきっかり六時。あくび一つ無く起き上がり、自室の状況を確認。今日はアッシュフォード学園での授業体験の予定があった。
備え付けのクローゼットを開け、生徒会長から渡された学園指定の制服に袖を通す。新品特有の固さに違和感を抱いたが、すぐに慣れるだろう。慣れるまでここに居られるかは分からないが。
学生鞄を開き、昨日のうちに用意していた教材を丁寧に納めた。そして時計を見る。六時十分。登校時間まで二時間近くあった。
(やることが無くなった……)
ベッドに腰掛け、俯く。どうしたらいいか分からなかった。
知人は何人か出来たが、頼るのは気が引ける。記憶喪失の身元不明者という立場上、誰かしらに迷惑をかけざるを得ないのだが、それは必要最低限であるべきだと考えていた。
今の自分に出来るのはそれくらいなのだ。
「…………」
外は晴天だが、どうしてか空が濁って見えた。美しいと思えない。気分が落ち込んでいるからなのか。それさえも分からなかった。
とりあえず、こうしていても始まらない。早く記憶を取り戻さなくては。
立ち上がり、外へと向かう。まずは昨日、カレンから案内してもらった道筋を辿り、周辺の地形を理解しよう。
どうにも体に力が入らなかったが、ライはクラブハウスを後にした。
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