297:名無しNIPPER[saga]
2015/07/06(月) 00:32:21.97 ID:DIPBHoXDO
ミレイにひとしきり笑われた後、学園案内が再開された。すれ違う生徒(特に男子)から嫉妬のこもった視線が送られてくる。慣れていたので無視した。
そして敷地内をぐるりと周った後、校内に入る。さすがに内部は問題ないと思ったのだが、
「ここが食堂よ。しょ・く・ど・う。はい、リピート!」
「……食堂ですね。知ってますよ」
腰に手を当てて言われても困る。
「じゃあ、なんで来ないの? 舌が合わないとか?」
「いえ、とても美味しいと思いますよ」
これは本心だ。アッシュフォード学園の食事は租界や本国のレストランと比べても遜色ない味と評判である。しかもそれが学食の値段で食べられるとなれば、人気になるのは当然だった。
だが、ライはこの食堂に数えるほどしか来たことがない。それも、ミレイなどの生徒会メンバーに連れて行かれる場合が殆どだ。
何度も指摘されているが、どうしても足が向かなかった。
「なら、どうして? お金は……手を付けてないんじゃない」
「…………」
金はある。ミレイから貰った金。服も部屋も、仮入学生という身分も、全て彼女から貰ったものだ。
だから必要最低限の食事しかしない。しようと思わない。
そういうことだ。簡単な理屈だった。
だが、この女性にそれを告げるわけにはいかなかった。
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