379:名無しNIPPER[saga]
2015/07/29(水) 19:19:07.16 ID:RvzOFB6DO
三人固まった女子達はキャピキャピと騒ぎながら、顔を突き合わせて何かの会議をしている。声が大きいせいで会話はだだ漏れだった。おかげで理解する。
小学三年生ともなれば、女子は色気づいてくる頃だ。好みの男子を言い合い、お互いに牽制し、そこに駆け引きが生まれる。
告白されたのだ。運動会が終わった後、体育館の裏で。
仲の良い男子生徒だった。彼は運動が得意で、体育ではいつも活躍していた。勉強もそれなりに出来て、見た目も悪くない。女子からも高い人気を誇っていた。
だが、振ってしまった。躊躇いもなく、他人から指摘されるまでそれが告白だったという事にすら気づかなかった。
それっきり、その男子生徒とは疎遠になった。昼休みのバスケットボールにも姿を見せなかったし、彼の友達からも妙な目で見られる。
正直、苛ついた。小さい奴だと思った。振られたくらいで敵意を向けるなど、そんなのは本当の恋ではない。
男子はいつもそうだ。ブリタニア人と日本人のハーフだからという理由で、からかわれた事も山ほどあった。赤い髪と空色の目を馬鹿にされたことも数え切れない。そういう男子の軽率さも、顔も知らない父親も、疎ましくて仕方がなかった。
もう半分の血が日本人の物だったのなら、黒い髪と瞳が手に入ったのに。変なコンプレックスを抱えなくて済んだのに。
だから、良識の欠片もない同年代の男子に恋をするなどありえない事だった。兄くらい文武両道で優しい人が理想だが、まあいないだろう。嘆かわしいことだ。
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