381:名無しNIPPER[saga]
2015/07/29(水) 19:22:53.30 ID:RvzOFB6DO
(ずいぶん急ぐな)
兄だった。ギロリと睨んでから、無視して歩く。
(なんだ、怒ってんのか)
別に。
(母さんを置いてったら可哀想だろ)
お兄ちゃんがいるじゃん。
(まったく……。俺だけじゃ意味ないだろ。三人一緒じゃなきゃ)
そう言われて、足を止める。いくら瞬足でも、所詮は小学生。母がいる場所からほとんど移動していない。
憮然とした表情で、母と、兄が放置した自転車がある八百屋の前まで戻ってくる。
(あら、おかえり)
置いて帰ろうとしたのに、母は微笑んでくれる。こくりと頷いて、視線は地面に注いだ。罪悪感が酷い。
(今日はハンバーグだからね)
母はそう言って、買い物袋を掲げてみせた。中には人参と玉ねぎがある。このまま道中の肉屋で粗挽き肉を買えば、大の好物が完成するだろう。
一瞬で機嫌が直る。母のそばに駆け寄り、その腰に抱きついた。
(……簡単な奴)
肩をすくめて呆れる兄を睨み付ける。
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